■多汗症治療ガイド>□治療編
● 薬物療法(神経遮断薬)

◆ 神経遮断薬について

このページでは、薬物療法のうち神経遮断薬について取り上げます。
神経遮断薬は腺分泌(消化液、唾液等)を止めるための薬で、潰瘍治療薬などがあります。これによって発汗も止めることが出来るため、多汗症に用いられることがあります。
潰瘍治療薬にとっては、汗が止まることは副作用の1つであり、これを汗を止めるために使用することは、本来の目的とは違う使用ということになります。

神経遮断薬は全身に作用するため、局所多汗症に限らず全身性多汗や代償性発汗に対しても働きます。
多汗症の治療薬として認可されている神経遮断薬はプロ・バンサインのみです。
神経遮断薬は、口渇、眠気、胃腸障害、便秘、調節麻痺性視力障害などの副作用が強いため、使用には十分な注意が必要です。
他の神経遮断薬はむろん、プロ・バンサインも使用に否定的な医師が多いです。

交感神経の伝達物質はふつうノルアドレナリンですが、汗腺に向かう交感神経、つまり発汗神経の伝達物質はアセチルコリンであるため、神経遮断薬としては主に抗コリン薬が使用されます。これによりアセチルコリンの働きがブロックされ、汗を減らしたり止めることができます。アセチルコリンはふつう副交感神経の末端から出る伝達物質なので、抗コリン薬は副交感神経遮断薬に分類されます。
抗コリン薬は現在、副作用の強いものから弱いものへと改良されてきています。汗を止めるのは抗コリン薬の副作用ですから、新しい薬ほど制汗作用は弱くなっているということになります。

抗コリン薬の副作用についての記述です。

「この薬は、汗腺以外にもコリン作動性神経に支配されているすべての器官の働きを抑えてしまうから、たとえば心臓の拍動は増え、唾液が出なくなって喉がからからになり、瞳孔は開いたままになって物が見えにくくなるなど、副作用が多い。しかも、これが効いているのは短時間だけである。したがって、この方法は特殊な場合以外実用的ではない」(『汗の常識・非常識』小川徳雄・著、講談社ブルーバックス)

◆ 各種の神経遮断薬

以下は参考になる薬のホームページです。
 薬のガイド データベース
○『正しい治療と薬の情報(TIP)』誌に連載された<患者用薬の説明書>です。
○「一般の方が読んでもわかるように、できるだけ平易な言葉を用いました」(説明文より)。
○参照ページを[TIP]のリンクで示しています。
 おくすり110番
○薬品名(製品名)、メーカー、成分、分類、系統がわかります。
○成分情報(分類、効能効果、用法容量、薬効薬理)も参照できます。
 医者からもらった薬がわかる
○製品名、識別コードから検索して、一般名、メーカー、効能などがわかります。
プロ・バンサイン Pro-Banthine [TIP]
◇メーカー
日本モンサント
◇薬効分類名
自律神経剤 [TIP]
◇系統
四級アンモニウム塩製剤
◇成分(一般名)
臭化プロパンテリン propantheline bromide [TIP]
(説明文書)アトロピン系鎮痙剤 [TIP]
(分類)  抗コリン性鎮けい四級アンモニウム塩
◇その他の臭化プロパンテリン製剤
  • パンテリン
  • プロジー
  • プロテフィリンP
  • メサフィリン
  • メタグレンS
    ◇特長
  • 多汗症の治療薬として認可されている唯一の神経遮断薬です。
  • 作用時間は短いですが、即効性はあります。
  • 効果のない人もいます。
  • 全身に作用するので、全身多汗、代償性発汗に使えます。
  • 口渇、調整麻痺性視力障害、便秘、眠気、頭痛などの副作用があります。
    汗は止まったが、眠気が強いため使用に耐えないという方もいます。連用には向いていません。
  • 緊張する前など、特定の場面にのみ服用する、というような使い方も可能です。
    ◇伝言板より
  • 「過去ログを読んだのですが、代償性発汗を抑える薬がいくつか紹介されていますよね。私も、通常は『プロバンサイン』を服用しています。
    私の場合、2錠服用すると4時間ほど発汗を抑制(ブロック)します。3錠だと6時間ぐらいかな?効果は以上のとおりですが、副作用として口渇、胸焼けなどの不快な症状も発生して、医者からも連続して服用しないこと、1週間から10日に一度ぐらいの間隔を保って服用したほうが良い、といわれているので、『ここ一番』と思った時にしか使えないのがたまに傷です」

  • 「プロバンサインとロビナールについてコメントさせていただきます。
    私は実は両方とも試した事があります。が、私の場合、神経の働きがよっぽど強いのか、薬に対する感受性が低いのかわかりませんが、全く効果がありませんでした。
    食後に飲んだからいけないんだと思い、勝手な判断で空腹時に飲んでみたのですがやはり汗は噴き出していました。もちろん副作用も出ませんでした。ショックでしたねえ。
    一度、お医者さんに相談して試されるとよいと思いますが、効果の出方にはかなり個人差があると思います。効いたら良いなあと言う程度の期待で飲まれる事をお勧めします」

  • 「この『プロ・バンサイン』は去年までは、大日本製薬と、日本モンサイトの2社から発売されていましたが、現在では日本モンサイトからのみ発売されているようです。

    私の使用している、『プロ・バンサイン』は、大日本製薬のものです。薬はアルミニウムの袋で密封されているので、高温下で管理しなければ(冷蔵庫がベスト?)5年は大丈夫と聞いていますので、入手の古い順に服用しております。

    用量についてですが、原則的には1日3錠(朝・昼・夕)なのですが、汗を抑制・停止させたい時に用いたいわけですから、目的の時間の1時間前にまず1錠服用します。この薬の効果は、服用後30分ほどであらわれますので、1錠で効果の薄い場合はもう1錠、最大3錠まで、併発する副作用の具合と相談しながら用いるようにと私は指導を受けました。
    効果には個人差があるので、その辺の微調整は、個人個人が指導された用量の範囲内で行っていただきたいと思います。

    なお、併発する副作用の例としては、口渇、胸焼け、消化不良、頻尿、めまい等が主だったものとしてあげられますが、これも個人差があります。
    1錠で効果じゅうぶんの人には、同様に1錠で副作用があらわれるかもしれませんが、3錠服用しないと効果の現れない人には、2錠までは副作用も現われないかもしれません。作用と副作用はセットで起こるはずですが、副作用の症状の強さは個人差があります。そういう理由で、1錠ずつ様子をうかがいながら用いていただきたいわけです。

    ご質問の、喉が渇きすぎるということにたいしての不安についてですが、その場合の多くは、汗に対しても強いブロック作用が働いているわけです。多汗症の緩和程度の目的で服用(1〜2錠)するならば、喉の渇きの副作用も軽くすることが可能だと思われます。

    プロ・バンサインは、効果の持続性が短く、用量によって、2〜5時間が効果の目安とされていますが、それ以上の効果のある方もおられれば、全く効果のない方もいらっしゃいます。

    効果をある程度、持続させたい場合は、多少の副作用は覚悟する必要があります。
    結局は、作用のメリットと副作用のデメリットを天秤にかける作業を行った結果、満足のゆく効果を得て、真に必要と感じた方のみが用いる薬であるといえます。

    最後に、私はあくまでも、医師の説明と自分の経験だけという、乏しい知識で語っているにすぎないので、それを踏まえた上で参考にしてもらいたいと思います。」(2000/7/31)

  • 「薬の保管について書かせていただきます。プロ・バンサインのような錠剤は特別な記載がない限り、常温保存、使用期限は2〜3年くらいとお考えください。(錠剤の場合5年くらいは変質しないのですが)但し、常温といいましても思いがけず高温になる場所(車のダッシュボードの上、冬の暖房中のたんすの上、夏場外出中の室内など)の保管は変質の恐れもありますのでご注意なさってください。」(2000/7/31)
  • ロビナール(1999年8月製造中止) Robinul [TIP]
    ◇メーカー
    科研製薬
    ◇薬効分類名
    消化性潰瘍用剤 [TIP]
    ◇系統
    その他
    ◇成分(一般名)
    臭化グリコピロニウム glycopyrronium bromide [TIP]
    (説明文書)アトロピン系鎮痙剤 [TIP]
    (分類)  消化性潰瘍治療剤
    ◇その他の臭化グリコピロニウム製剤
  • コントレム(製造中止)
  • コントレムG(製造中止)
  • ヒデリンク(製造中止)
    ◇特長
  • ◇伝言板より
  • 「ロビナールについてですが、胃液の分泌を抑える働きのある消化性潰瘍治療薬です。他の効能には消化管のれん縮抑制作用などがあり、強い抗コリン作用を持つものです。
    従って、抗コリン作用の副作用である口渇、眠気などの発症も多いです。使用目的(消化性潰瘍治療)から考えますと、効能(消化液分泌抑制など)の点からも、慎重にお使いになられることをおすすめします」

  • ひら機嫌