宇宙


universe 宇宙:あらゆる物質およびエネルギーを含む全空間。

cosmos 宇宙:混沌(chaos)に対し,秩序と調和のある世界。

  cosmology 
     宇宙論:宇宙全体の起源,進化,構造を取り扱う学問分野。

space 宇宙空間

(理化学英和辞典より)

ここでは「素粒子論的宇宙論」"Particle Cosmology"の観点から宇宙をながめる。

cf. 「天体物理学」"Astrophysics"



光の速さ(光速): 約30km毎秒 
(300000000m/s=3×10m/s

地球と太陽の距離: 約1億5000万km 
(1天文単位)

冥王星と太陽の距離: 約60億km (約40天文単位)


太陽からの光が地球に届くまで約500秒,
8分ちょっとかかる。

われわれは8分くらい前の太陽の姿を見ている。


光が1年で進む距離=1光年 とすると

(太陽以外の)最も近い恒星までの距離: 約4光年
大マゼラン星雲: 約17万光年
アンドロメダ座の銀河: 約230万光年

「遠くを見るほど,より昔の姿を見ている」ことになる。

ちなみに
われわれの銀河は半径約5万光年,約2000億個
(2×1011個)の恒星からなる。

オルバースのパラドックス

無限の宇宙は無限に明るい?



銀河からの光のスペクトルを観測

遠方の銀河からの光は,波長がのびている。
(赤いほうにずれる:「赤方偏移」)

ドップラー効果による説明: 
 銀河はわれわれから遠ざかっている。


ハッブルの法則(1929)

「銀河の距離と銀河の後退速度は比例する。」

v=Hr

現在では,Hは50〜100km/s/Mpcとされている。

pc=3.26光年,1Mpc=10pc


時間をさかのぼると,すべての銀河は重なってしまう???


ドップラー効果

遠方の銀河は離れていっている->
時間をさかのぼって考えれば,
現在のような宇宙の姿は有限時間内につくられた
(オルバースのパラドクスは消える。)






では,宇宙の過去,歴史を探るには?

観測: とおくをみよ!    

理論: ? (19世紀までは)








アインシュタインの重力理論=一般相対性理論

重力は時空の幾何学的構造によって記述される。


宇宙の発展->空間の大きさのスケールの時間変化

 物質の量および輻射のエネルギーが
 宇宙の膨脹の様子を決定する。

他の予言
  ・光は重力によって曲げられる。
  ・ブラックホール

  ・重力波の存在

宇宙が小さいとき何が起きた?




元素合成

元素(原子核)は宇宙の初期に作られた
(ガモフ,他) 1948年頃〜

熱い宇宙 (中性子,陽子の“スープ”)
->宇宙が膨脹するに従って冷却
   原子核がつくられる。



(軽い)元素合成の理論
-> 現在の宇宙の He/H 比 など(観測値)を説明

Big Bang 宇宙モデルの成功

熱い宇宙が膨脹とともに冷えていく。

温度はスケールファクターに反比例。


では,「熱い宇宙」の証拠は?

宇宙初期の光
-> 現在では波長がのびて電波(ミリ波)

1965年 宇宙背景輻射の発見

(等方,(温度のみによる)黒体輻射スペクトル)




自然界の4つの相互作用(力)



       重力     すべての粒子に働くが,
              非常に弱い。


       弱い力    原子核崩壊をもたらす力。
              (ニュートリノにも働く)


       電磁気力   荷電粒子間に働く力。
              (原子をつくる)


       強い力    クォーク間に働く力。
              (ハドロンをつくる)


E=mc2

高温(宇宙初期)
   =(粒子の)エネルギーが大きい
    (高エネルギー)

eV=10000K

粒子の質量=静止エネルギー

電子の質量=0.MeV=5×10eV
陽子の質量=1GeV=1×10eV
Weak Bosonの質量
     =90GeV=9×1010eV
(1015Kくらいの温度では弱い相互作用が「弱くなくなる」)

さらに高温(高エネルギー)では,強い相互作用も区別がなくなる->
クォークとレプトンの区別がなくなる。

なぜ,インフレーション?


・宇宙の一様性の問題




・宇宙の平坦性の問題




・ゆらぎの起源の問題






ダークマターの正体は?

・暗い天体  MACHO
  木星程度の「惑星」, 褐色矮星 (Brown Dwarf)
  ブラックホール, ボゾンスター,・・・・・

・「重い」ニュートリノ

・未知の粒子
  Axion, WIMPs  LSP(超対称性粒子)
  ・・・・・

・クォークナゲット(?)

・第5の物質 (quintessence) (Caldwell, Dave, Steinhardt)

・宇宙項の存在

・重力理論の補正?

(?) 何故,「そいつ」がそれだけの量,
    形成または生成されたのか?

(?) 銀河形成,元素合成等,
    宇宙発展の各場面での「意義」?

ニュートリノに質量のあることを確認
(1998)

SuperKamiokandeによる大気ニュートリノの観測により
ニュートリノ振動の証拠

1998年6月5日の発表

ニュートリノが質量をもっていると・・・

・素粒子の標準模型の見直し
  特に,統一理論を考えるとき,
  「なぜニュートリノの質量は
   非常に小さいのか?」->
    新しいエネルギースケール
  *シーソー機構(柳田,Gell-man, Slansky, Ramond



・宇宙のダークマター(?)


     銀河,構造形成 ??
       重力で物質を引きつける
      「熱いダークマター」->大きい構造




宇宙論
素粒子論(重力理論も含む)

相互に依存,相互に刺激




1917   最初の一般相対論的宇宙論(アインシュタイン)

1929   ハッブルの法則(宇宙の膨脹)

1948   最初の(初期宇宙での)元素合成の理論(ガモフら)

1965   宇宙背景輻射の発見(ペンジアス,ウィルソン)

1970年代 素粒子の統一理論の研究

1980   インフレーション宇宙モデル(グース,佐藤勝彦ら)

1981   宇宙のボイド(泡)構造の最初の証拠

1983   量子宇宙論(ホーキングら)

1984   超弦理論が脚光を浴びる

19891994 グレートウォール等の泡構造の発見

1992   宇宙背景輻射のゆらぎ(COBE

1998   ニュートリノ振動現象の検証(SuperKamiokande



t<10-43秒,T>1019GeV

量子重力が支配

量子重力理論(?)
超弦理論(?)
M-theory(?)

「時空構造」が出現 宇宙の多重発生? 時空の次元が決まる?


t=10-??秒,T=10??GeV

インフレーション

真空のエネルギーにより,宇宙の大きさが急激に膨脹

スカラー場(インフラトン)(?)
量子重力理論(?)
宇宙の多重発生?

インフラトンの量子ゆらぎ ->
宇宙の大域的ゆらぎ
(宇宙背景輻射のゆらぎ,銀河構造の種)

t=10-??秒,T=10??GeV

真空のエネルギーが輻射に転化

インフラトンのコヒーレントな振動による


t=10-??秒,T=1016GeV

クォークとレプトンに区別がつく

大統一理論の相転移により,強い相互作用が分離する。


t=10-??秒,T=10??GeV

物質粒子の生成

大統一理論に含まれていた相互作用(陽子崩壊に関係する力)により,物質粒子が反物質粒子よりも多く作られる。非平衡過程。(バリオン数生成)


t=10-10秒,T=100GeV

弱い相互作用の分離

ヒッグス場の相転移により,弱い相互作用が他の相互作用と分離する。
ヒッグス場は,粒子の質量の起源も与える。


t=10-4秒,T=200MeV

ハドロンの生成

自由なクォークが閉じこめられ,
中性子や陽子などハドロンが作られる。
(クォークナゲットも作られる(?)=
 ダークマターの候補)。



t=1秒,T=1MeV

弱い相互作用が離脱

弱い相互作用による過程が平衡から離脱
ニュートリノの反応が効かなくなる。
中性子と陽子の相互の転換が凍結。
以降,中性子は崩壊して減っていく。


t=5秒,T=0.MeV

電子・陽電子消滅

光子の生成により,光子の温度がニュートリノの温度よりも高くなる。



t=100秒,T=100keV

元素合成

軽い元素(He, D, Li)の原子核ができる。

t=1月,T=500eV

光子の効果的生成終了

宇宙黒体輻射の量が決定。



t=10000年,T=3eV=3000K

物質優勢になる

物質の質量が輻射のエネルギーを上回る。
物質のゆらぎの形成

t=50万年,T=3000K

水素原子の生成

自由電子がなくなり,宇宙が光(電磁波)に対して透明になる。
(宇宙の晴れ上がり)
宇宙背景輻射の起源



t<10億年,T>20K
最初の星の生成
重い元素がはじめて作られる。

t>10〜20億年,T<10〜20K
最初の銀河の生成
銀河,クェーサーが作られる。
現在観測される星,銀河,クェーサー

t=20〜130億年,T=3〜10K
銀河の形成
銀河内の恒星,惑星系がつくられる。

t=20〜130億年,T=3〜10K
現在
銀河の大規模構造。


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