宇宙と素粒子


これは,1998年10月20日
平成10年度山口県高教研理化部会研究大会(@美祢工業高校)
での講演の原稿です。
(実際には,相転移,インフレーション,量子宇宙論については,
割愛させていただきました。)
 後半は「宇宙のはじまり」の改訂版とも言えるものです。
(つまり,ほとんど再利用!)

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宇宙と素粒子

                 白石 清(山口大学理学部)(1998年10月)
概 要
 素粒子と宇宙の関わりについておはなしします。



--->前半では,最近話題のニュートリノについての話をします。

 「素粒子」というと,みなさん何を思い浮かべるでしょうか。電子,陽子,中性子,光子,・・・高校の教科書ではこんな感じですね。今,一番話題となっているのは,(めったに)教科書に載っていない(!),「ニュートリノ」という粒子です。(高校の教科書に,原子核崩壊は出ているのに,ニュートリノはめったにでてきません。大学入試に出すと怒られます。それと,余談ですが,核融合はなぜか必ず詳しく出ています。)
 まず,このニュートリノについてお話ししていきましょう。この粒子は実は宇宙の成り立ちとも関係しているらしいのです。


・ニュートリノ

 ニュートリノは核崩壊のときに必ず生じる粒子です。崩壊の際のエネルギー保存を調べる実験結果から,1930年代初頭にパウリが予言しました。のちに(1956年ごろ)ライナス,コーワンらによって存在が確認されました。ニュートリノは電荷をもっておらず,弱い相互作用しかしないため,非常に検出が難しい粒子です。
 現在では電子ニュートリノ,ミューニュートリノ,タウニュートリノの3種類のニュートリノが存在すると考えられています。他の粒子との相互作用が弱く,物質を素通りするため,宇宙のはるか彼方や太陽の中心部で発生したニュ ートリノは,そのまま地球にやってきます。そのため,観測が非常に難しく,実際には塩素やガリウム,水素などの原子核に衝突したときにごくまれに起こる逆ベータ反応などにより検出します。
 現在の宇宙には,1立方センチあたり100個という密度で存在しており,ほぼ光速で飛び回っているはずです。(しかし,大部分はエネルギーが低いため,観測は難しい。)


・ニュートリノの観測

 最近,東大・宇宙線研究所を中心とした日米の共同研究グループ(代表・戸塚洋二東大宇宙線研究所所長)がニュートリノの質量を確認したと報道がありました。これは6月5日午前,岐阜県高山市(高山市民文化会館)のニュートリノ国際会議での梶田隆章・東大宇宙線研究所助教授の発表についての報道です。新聞,雑誌でさかんにとりあげられましたので,みなさんもご存じかと思います。
 もし,ニュートリノに質量があるなら,3種類のニュートリノがそれぞれ別種のニュートリノに変化を繰り返す現象(ニュートリノ振動)が 予想されていました。今回の発表はこのニュートリノ振動を確認したとのことです。
 研究グループは東大宇宙線研究所を中心に,日米約120人の大グループです。5万トンの水をたたえた岐阜県北部(岐阜県吉城郡神岡町)の神岡鉱山地下1000メートルの巨大タンクで1996年4月から,宇宙線が大気と衝突して発生するニュートリノを観測してきました。
 大気からのニュートリノは計約4500個観測されましたが,ミューニュートリノが電子ニュートリノの2倍存在するはずなのに1.2倍しかありませんでした。(まず大気でできたパイ中間子がミューオンとミューニュートリノに崩壊します。ミューオンは電子と電子ニュートリノ,ミューニュートリノに壊れます。)またミューニュートリノの数は真上からは,ほぼ予想通りでしたが,真上から外れるほど減り,地球裏側の真下から来る数は予想の半分でした。この一年でデータが蓄積し,事実がはっきりしてきました。
 大気でのニュートリノ発生場所は真上が上空約20キロなのに,真下は地球の裏側で約13000キロも離れているのです。一連のデータは,ミューニュートリノが長距離飛ぶ間にタウニュートリノに変身する「振動」が起きていることを裏付けました。(タウニュートリノは現在直接観測できません。)

 この神岡の観測装置はスーパーカミオカンデと呼ばれています。スーパーカミオカンデは5万tの純水を使用しています。反応の際に生まれる電子が放出する光子を検出するための光電子増倍管11200本がタンクの内側に設置されています。このスーパーカミオカンデは大気ニュートリノの観測の他にも,太陽ニュートリノの観測や,さらには陽子崩壊を観測することができます。

 太陽からのニュートリノの量については,以前からの観測で,太陽の構造の理論から予想される量よりも,少ないニュートリノしか観測されていないことがわかっています。このことも,別のニュートリノ振動(電子ニュートリノが別の種類に変換する)によって説明できると考えられます。

 現在,つくばのKEKからニュートリノビームを250キロ離れたスーパーカミオカンデに打ち込んで,ニュートリノ振動を検出しようという試みが計画されています(KEK内では1000tのタンクに800本の検出装置を備えた「ベビーカミオカンデ」を設置。)。(1999年開始予定。)これにより,より精密にニュートリノの質量や性質が確定されるでしょう。同様の計画は,他にも世界各地で計画されています。


・ニュートリノ振動

 ニュートリノに微小な質量を許すとすれば,一般に相互作用の固有状態と質量の固有状態が異なってくるので,ニュートリノについてもクォークのCKM行列(キャビボ・小林・益川行列)と同じような形の混合行列(牧・中川・坂田行列(MNS行列))が現われ,例えば弱い相互作用によってつくられたミューニュートリノが自由粒子として空を飛んでくる間にタウニュートリノに変換される可能性がでてきます。これをニュートリノ振動とよびます。
 ニュートリノ振動の現象 は,弱いバネで連結された振り子のモデルで理解することができます。片方の振り子を最初に振らしたときに,やがて他方の振り子が振れてきます。 振幅の二乗が存在量(割合)に比例すると思えば,二種類のニュートリノの混合した場合と同じで現象であることがわかります。
 ニュートリノ振動現象は,ニュートリノの質量の自乗の差に関係していて,絶対的な質量は直接観測から得ることはできません。今回の観測結果からは

 ・質量固有状態 (ν_1, ν_2) の2乗質量差
  Δm^2 = m_2^2 - m_1^2 = 10^(-2) 〜 10^(-3) eV^2
      ちなみに電子の質量は約0.5MeV,陽子の質量は約1GeV。
 ・ν_1, ν_2 の混合角θ ・・・ sin^2 2θ = 0.8 〜 1.0


・ニュートリノの質量と素粒子理論

 ニュートリノの質量は標準理論(Weinberg-Salam理論)においてゼロであると仮定されています。そして,クォークやレプトンは左巻きの粒子(スピンの方向に運動している粒子)と右巻きの粒子(スピンの逆方向に運動している粒子)の二つに分類でき,弱い相互作用は左巻きの粒子(右巻きの反粒子)にしか働きません。ニュートリノはこの仮定のため,特殊相対性理論とニュートリノが弱い相互作用しかしない事により,右巻きのニュートリノが存在する必要がなく,左巻きのニュートリノだけを考えればよいことになります。
 ニュートリノ振動現象が確かめられれば,少なくともひとつのニュートリノは質量をもち,したがって従来の標準理論では考慮していなかった成分を新たに導入しなければなりません。
 標準理論では左巻きの粒子と右巻きの粒子がヒッグス粒子と結合することで質量がつくられ,この質量をディラック質量と呼びます。ニュートリノの場合,ディラック質量をもつときは右巻きニュートリノも考える必要がでてくる。またニュートリノは中性なので粒子,反粒子の区別はないので,左巻きの粒子だけ,または右巻きの粒子だけで質量をもつことができ,この質量をマヨラナ質量と呼びます。
 今,簡単のために右巻きのニュートリノだけが大きなマヨラナ質量Mをもちそれ以外にディラック質量mをもっている時,ニュートリノの質量は質量行列
0 m
m M
で表せて,これを対角化して得られる固有値がニュートリノの物理的に観測できる質量です。固有値はM≫mよりm^2/M,Mとなります。左巻きが主成分である軽い方の質量m^2/Mは,対応する荷電レプトンやクォークの質量と同程度のディラック質量に比べてかなり軽くなることがわかり,一方右巻きが主成分である重い方は弱い相互作用をしないためと,質量が大きいためにまだ発見されていないと考えらます。このように非常に大きな質量をもったマヨラナ質量の存在によって,ニュートリノの観測結果とよくあう結果が導かれる可能性が大きいので,標準理論全体の見直しも検討されてきます。


・ニュートリノの質量と宇宙

 宇宙はおよそ150億年前,ビッグ・バンではじまったといわれています。それ以来,宇宙は拡大し続け,冷却し続けています。宇宙はいつまでも無限に拡がり続け冷え続けるのか,あるいはある日,向きを変えて縮みはじめ,ついにはつぶれてしまうのか。この疑問の答えは,宇宙の中にどれだけ物質がつまっているかによります。
 現在の宇宙を構成するものは,銀河,銀河団,ダーク・マター(暗黒物質,光らない物質)だといわれています。「ダーク・マター」があると思われる訳は,銀河のまわりを回っている星の軌道の観測から, 銀河の質量は見えている物質から推定したものの 約10倍なければならないことが分かったからです。
 また,銀河団のスケールでもダークマターが存在する証拠が挙げられています。
 もしダーク・マターが存在するとしたら,宇宙の質量が90%がダーク・マターである可能性が大きいといわれています。
 ダーク・マターの正体は何なのでしょうか?ニュートリノ?現在衝突型加速器で見つけようとしている超対称粒子(フォティーノ,など)?輝かない星?惑星ほどの質量をもつブラック・ホール?理論家が夢にも思わないような新粒子?etc.

 ニュートリノは現在のダーク・マターの有力候補です。3種のニュートリノのうち,もし一つでも10eV程度以上の質量をもつものがあ れば,ニュートリノがダーク・マターの候補の一つになります。(cf.電子eの質量50万eV)

 ダークマターの性質と存在量は,銀河の形成と密接に関係しています。ダークマターのふつうの物質との相互作用は非常に小さいとおもわれますが,宇宙規模では重力の相互作用が重要となるためです。しかし,理論的にはいろいろなシミュレーションがなされていて,ダークマターの性質によって異なる構造が生じることがわかっています。仮に質量をもったニュートリノがダークマターだとすると,宇宙の大きな構造は造れますが,小さな構造はニュートリノの運動によって消されてしまいます。いろいろなダークマターの組み合わせによって,観測によって明らかになってきた銀河の分布をうまく説明することができるのでしょうか?

ダークマターの話は,後半の最後にまた出てきます。



--->ここからは,宇宙のはじまりを調べていきます。

・宇宙をながめる

 光の速度はご存知でしょうか。1秒間に地球を7周り半,秒速約30万キロメートルです。したがって太陽の最期の光が届くまで約500秒かかるわけです。光より速いものはないので,太陽が突然消えても8分ちょっとは気がつかないわけです。天文学的な距離では,日常のように光速は無限だと考えてはいけない,という事です。
 という事で宇宙の昔を知る手掛かりは「光速は有限である」というところにあります。つまり,ずうっと遠くを見れば,それはずっと昔の姿を見ているんだ,という事になります。まさに,「宇宙」は「時間」と「空間」の結びつきである,という事が解かります。とりあえず,我々は,遠くを見ていくことにしましょう。

 太陽系の広がりは,冥王星の軌道半径くらいとしますと,約60億キロメートルです。光では数時間かかります。一番近い(太陽以外の)恒星は,光で約4年とちょっとの距離にあります。ここでいきなりスケールが大きくなるのがお解かりでしょう。(距離の相対的な比較は,いろんな入門書にでています。)いわゆる天文学的な距離は,このあとは1光年=(光が1年間に進む距離)で表したほうが便利です。(ただし,天文の人はパーセク(pc),メガパーセク(Mpc)のほうを好みます。1pcは約3.26光年。)
 太陽や他の星々が集まって銀河をつくっているのは多分ご存知でしょう。我々の銀河を始めとして,多くの他の銀河でも大体円盤状やレンズ状の形をしているものが多いようです。これは,銀河がゆっくりと自転をしているためです。我々の銀河の場合,約4億年で1回転しているようです。これは星の距離と速度が解かれば求まります。我々がレンズの分厚いほうを通して見ると,とても多くの星が重なって見えます。これがご承知の天の川です。
 ひとつの銀河の大きさはまちまちですが,我々の銀河の場合,半径約5万光年,約2000億個の恒星から成り立っています。これが大体標準です。
 秋の夜空を見上げると,アンドロメダ座の片隅にぼうっとした雲のようなものが見えます。これが我々の銀河系の仲間の通称アンドロメダ銀河(大星雲)です。これは地球から約230万光年離れています。(各銀河の大きさに比べれば,結構近い距離に銀河は分布しています。)また,1987年の超新星や,宇宙戦艦ヤマトでおなじみの,大マゼラン雲は約17万光年のかなたにあります。(当時の知識では14万8000光年でした!)この小さい銀河は残念ながら日本からは見ることができません。我々の銀河と同じような銀河,もっと大きい銀河,小さい銀河など,は望遠鏡を用いれば全天にたくさん見ることができます。

 さて,今までの星や銀河の距離はどうやって測ったのでしょうか?それは三角測量の応用(最近では,人工衛星を用いた精密測定が1990年から始められています)や,変光星の性質や統計的処理など,いろいろ興味ある手段を用いて行われます。
 これらの距離を測る手段は,もっと遠くの銀河については有効性が保証されません。遠くの距離はどうやって測ればいいのでしょう?

 銀河の宇宙を考えてみましょう。大体宇宙に無限の広がりがあるのでしょうか?無限個の銀河が散らばっているのでしょうか?無限に銀河があれば,我々の視線はいずれ何処かの銀河に当たるはずです。遠くの銀河は暗いけれども,それでも無限に存在すれば,夜空は無限に明るくなるはずです。このようなことは「オルバースのパラドックス」として知られています。(銀河の発見以前から,無限宇宙の可能性が検討されていたのです!)これを解決する最も簡単な答えは,「ある時期より前には銀河(あるいは光るもの)がなかった」というものでしょう。このことからも,宇宙の昔の姿,また言い換えればうんと遠くがどうなっているか気がかりになります。

 ハッブルは1929年頃,大発見をしました。遠くの銀河ほど速い速度で我々から遠ざかっているというのです。これは比較的近くの銀河について,光のスペクトルを調べることによって解かりました。光のスペクトルのなかにはいくつかの物質特有の線があります。これが比較的遠くの銀河ではより大きく波長の位置がずれていることを見つけました。これは光に対する「ドップラー効果」によるものと解釈できます。(音に対するドップラー効果は,パトカーや救急車のサイレンの音でおなじみでしょう。)したがって,ずれの方向も考えると,遠くの銀河ほど速く遠ざかっていくことが解かりました。この比例関係を「ハッブルの法則」と呼びます。

 この発見は二つの大きな意味を持ちます。一つは 「この法則性をより遠くの銀河まで外挿して,銀河の距離をその光のスペクトルのずれから計算することができる」ということ,もうひとつは 「時間を遡れば,銀河は互いにもっと近くにあった。もっと遡れば重なってしまう。こんなことはおかしいから,全ての銀河はその誕生の時があったに違いない。」
 最初のことはもちろん天文学的に重要ですが,あとの方は「哲学的」にも重要だと思われます。コペルニクス,ガリレオ,ケプラー,ニュートンの時代になっても,星の世界は一定不変と思い込まれてきたからです。
 ハッブルのこの法則は,その後修正を加えながらも,より遠くの銀河についても成り立っていると考えられています。(幾種類かの銀河については,距離の目安となる性質があるので,それによる測定と比較します。ハッブルの法則だけが,全ての銀河について普遍なものと考えられます。)


・アインシュタイン登場

 時代は少し遡りますが,1917年,ベルリンにも宇宙の定常性を信じる男がいました。彼の名はアインシュタイン。この年,彼は38歳になる前に,自分の以前発表した一般相対論を宇宙に適用してみました。
 彼が1914年頃に完成した一般相対論は,古典的重力の理論です。ただ,重要なことは,よく知られているように,重力を時間,空間の歪みによるものだ,としたことです。このことだけでは,単なる重力の解釈の問題としかなりかねませんが,もっと重要なのは,その時間空間を物質の(エネルギー)分布と結びつける方程式を見いだしたことです。「アインシュタイン方程式」の左辺は時間空間の歪みを表し,右辺は物質の分布を表します。「時間空間」(=時空)という入れ物と,「物質」という中身の全てが我々の宇宙ですから,アインシュタイン方程式は宇宙の存在様式を規定している事になります。

 物質の分布は銀河の分布だとしますと,大体一様等方散らばっているようです。 (後に述べますように,銀河の分布を現在も観測しているわけですが,第0近似としては,一様等方という条件は満たされています。)等方というのは,どっちの方角を見ても景色は大体において同じだということで,一様というのは,どこの銀河から見ても景色が同じように見える,ということです。この一様等方性を「宇宙原理」と呼んで,宇宙論の研究の大前提としています。つまり,我々の銀河は特別なものではない,という「コペルニクス的」主張をするわけです。
 さて,宇宙原理を適用すれば,アインシュタイン方程式を解くことができます。一般相対論の立場では,銀河が運動しているのではなくて,空間が変化しているのだ,と見るわけです。一様等方の仮定から,宇宙全体の空間の構造は時間に依存する「スケールファクター」だけで決まります。これは例えばある時刻のある銀河と銀河の距離を1としたときに,別の時刻に何倍,あるいは何分の一になっているかを表す比率です。前に挙げたアインシュタイン方程式をそのまま解くと,スケールファクターは必ず時間につれて変化することが解かります。(ニュートン力学の立場でも,銀河同志は重力で引っ張り合いますから,静的な宇宙は実現できないわけです。)1917年の時点では,銀河の分布,つまり宇宙は静的なものと考えられていましたから,アインシュタインは自分の方程式にある定数に比例した項を付け加え,静的な宇宙の構造を表しました。しかし我々は既に知っているように,銀河は互いに離れていっています。つまりスケールファクターは時間とともに増加しています。このことを「宇宙膨張」と呼ぶことができます。方程式の解は,ちゃんとハッブルの法則を正しく表します。
 その後アインシュタインはもちろん観測事実を知って,自分の方程式を元に戻しました。ちなみに,付け加えられていた定数を宇宙定数(それを含む項を宇宙項)とよびます。

 とにかく,観測とアインシュタイン方程式の解とを突き合わせることで,宇宙の進化が詳しく研究できるようになったわけです。宇宙の歴史をそのまま遡っていくと,始めはほとんど「点」から始まることが解ります。この辺の詳しいことは「宇宙の中身」,つまり物質の性質を調べなければなりませんが。細かいことをおいておいても,現在の宇宙の膨張率(=ハッブル定数)とアインシュタイン方程式により,宇宙の年齢は約150億年前後だということが解かっています。(歴史的な観測値と理論値の紆余曲折(現在も続いています!)については,省きます。)


・物質(元素)の起源

 さて銀河を構成する星も,私達も,皆原子からできているわけです。自然界の原子は約百種類が知られています。原子はいつごろつくられたのでしょう?1940年代後半から1950年代後半,ガモフは宇宙の初期にすべての元素がつくられた,と主張しました。宇宙の歴史を遡っていけば,すごく宇宙全体が小さい時期があったわけです。物を熱が逃げないように圧縮すれば,温度が上昇することを我々は知っています。それと同様にはるか昔の宇宙は熱かったと考えることが可能です。非常に高温では原子の原子核も陽子や中性子になってしまいます。宇宙では逆に膨張につれて温度が冷えていくとともに陽子や中性子から種々の元素がつくられるのではないか,とガモフは考えたのです。この研究を始めとして,多くの物理学者や天文学者がこの熱い宇宙を研究するようになりました。「ビッグバン(BigBang)宇宙モデル」の誕生です。後にガモフの目論見は変更され,初期宇宙でつくられたのは主に水素とヘリウム(と一部のリチウム)で,他の大部分は星の内部でつくられることが解かってきました。しかし宇宙の物質の大部分,つまり銀河や星の大部分は水素とヘリウムが優に90%以上を占めています。(星の中でつくられる分量だけでは,どうしてもヘリウムが観測に合うだけつくられないことが解かっています。)宇宙の温度と大きさ(スケールファクター),宇宙が始まってからの時間の相互の関係は,アインシュタイン方程式によって解かっています。元素合成時の温度は約10億度,時刻は宇宙が「点」から始まったとして,その始まりから約3分くらいです(ヘリウムの3分クッキング!)。

 なお,元素合成は宇宙の膨張速度と関係しているので,そのときの物質の量に制限が付きます。このことから,ニュートリノの種類は3種類だということが確かめられます。

 元素合成の温度から,現在の宇宙の温度が解かります。宇宙の大きさと温度は反比例することが,簡単な熱力学から解かります。ガモフやその当時の人々はその温度が絶対温度で10度より低いぐらいであることを理論的に導きました。さて,宇宙の温度とは,何を測れば解かるのでしょうか?
 物質はどんなものでも温度を上げるとそれに対応した光を出します。前に述べたスペクトルの中の線などは物質の種類によりますが,種類によらない部分が大きな寄与をします。温度が低いときは主に波長の長い光,高いときは波長の短い光の分量が増します。また,波長の異なる成分の比率も理論的に解かっています。この波長分布関数はプランク分布として知られています。温度の非常に低いときは,主な成分は電波として観測されます。(電波も,赤外線も,可視光も,紫外線も,X線も,γ線も,皆電磁波で,ただ波長が異なるだけです。)したがって,宇宙の電波を調べればよいのです。
 ところでこの電波にはもう一つ,別の解釈があります。先に述べた元素合成時には,まだ物質は高温プラズマ状態で,光は自由に通り抜けることが出来ないほどでした。もっと温度が下がって,原子核と原子が結びついて原子を形成すると,光は自由に進んで行けるようになります。このとき温度は約4000度程度,宇宙の始まりから約10万年程度の時刻です。ですから,このとき初めて,観測可能な最初の光が放たれたことになります。この高温度に対応した波長の短い電磁波も,宇宙膨張のためのドップラー効果を受けます。この結果,波長は大幅に延び,電波として観測されます。もうお気づきかと思いますが,この波長が,先ほどの温度に対応した波長と一致するのです!
 同じことにいくつもの解釈ができることはよくあることです。今の場合,最初の熱力学の考察では,ただ単一の温度について述べるに留まりますが,あとの見方では,さらに重要な可能性があることに気づきます。それは,色々な方向から来る電波の観測により,宇宙の等方性がどの程度成り立っているかを調べられる,ということです。そしてもし非等方性が見つかれば,それは宇宙が始まって,10万年くらいのときの様子を見ていることが解かります。


・再び,宇宙をながめると

 科学の発見の歴史は,よくご存知のように,単純でない場合が多いようです。この「宇宙の化石」の発見も,こんなものとはあまり縁のなさそうな,二人の技術者によって見つけられたのです。その二人とは,当時ベル研に居たペンジァスとウィルソンです。この二人はアンテナに入る雑音電波について調べていて,偶然この宇宙の化石を見つけてしまったのです(1965年)。その波長は絶対温度約3度に対応し,宇宙のどの方向からも同じ強さで来るように見えました。これが宇宙の化石,普通呼ばれる言い方では「宇宙背景輻射」と呼ばれています。この等方性については幾度も観測がなされてきました。我々の銀河の固有運動(宇宙膨張とは関係のない動き)によるドップラー効果を差し引くと,観測の精度内でほぼ完璧に等方な様にみえました。つまり,背景輻射の時代は宇宙はほぼ等方であり,またおそらくは一様でもあった,と思われます。

 しかしながら,余りにも完全に近い等方性には問題があります。それは以下のようなものです。
 1)これよりもあとの時代に銀河がつくられるわけであるが,その元となる「ゆらぎ」が見つからない。「ゆらぎ」を中心として重力によって物質(主に水素ガス)が集まって,銀河が形成されると考えられている。もし観測にかからないほどのゆらぎがあったとしても,それから銀河ができるまでには理論的には宇宙の年齢よりも長い時間がかかることになり,矛盾である。
 2)初期の宇宙では,膨張率も現在よりずっと大きかった。そのため,当時の宇宙の端と端では,いかなる信号も到達することができず,そこからでた光は,現在我々が促えた時点で初めて出会うことになる。
 2)の問題の方は,更に宇宙の歴史を遡れば答えが見つかるかも知れません。従いまして,後ほど再び取り上げます。1)の方の問題は,背景輻射のあとの時代の問題ですから,まず第一に考えるべきことは,観測の精度を上げることです。

 1989年,アメリカは宇宙背景輻射観測用の衛星COBEを打ち上げました。この衛星は,おしりを常に地球側に向けることによって,地球からの雑音電波をさける工夫がなされています。その初期の観測では,一様な電波の波長分布は,理論とぴったり一致していることを示しました。最近の観測結果の発表は,世界の天文学者の注目を集めました。ついに「ゆらぎ」が見つかったのです!その大きさは比率にして約10万分の一でした。深さ1キロメートルの海に高さ1センチの漣が立っているところを想像して下さい。これで銀河形成の理論の根本的矛盾はなくなりました。(現在ではCOBEは機能を停止していますが,現在,同様なより精密な観測計画(MAP,PLANCK)が立てられています。)
 銀河の話になったついでに,最近の銀河の観測について紹介しておきましょう。
 まずハッブル望遠鏡が宇宙空間から遠方の銀河やクェーサーを観測しています。雑誌,新聞,本やインターネットで画像をご覧になった方も多いでしょう。空気のゆらぎがないために,非常に鮮明な画像が得られています。宇宙空間からは,すべての波長の電磁波を用いた観測ができることも強みです。
 また,最近の地上観測では,電子技術(CCD等)やコンピューターの進歩で,膨大な数の銀河のデータを比較的短い時間で処理することができるようになりました。この為,銀河の空間分布の地図をつくることが可能になってきました。その結果,我々から約3から4億光年先に,約6億光年以上の長さをもつ巨大な銀河の集まりが発見されました。あだなでは"Great Wall"(万里の長城)と呼ばれています。
 別の観測では,このような大規模構造が何重にも続いているのではないかと報告されています。これらの大規模構造が,さきほどのゆらぎから成長してつくられるかという理論的問題は,多くの人々が研究しています。また,観測のほうも,より広範囲の銀河の分布を決定する観測が進んでいるところです。
 我が国では,国立天文台がハワイのマウナケアに新しい望遠鏡をつくりました。名前は「すばる」,口径8メートルの反射望遠鏡で,赤外線でも観測できます。初期の銀河の観測が期待されています。


・初期宇宙と素粒子

 もう我々は宇宙の最初の「光」を見ましたから,これ以上宇宙の歴史を遡るに至っては,理論的考察を頼りにするしかありません。元素合成時より以前の宇宙では,より温度が高かったわけですから,陽子や中性子もばらばらであったときがあると考えられます。ご承知のとおり陽子や中性子はクォークからできていますから,非常に高温の初期宇宙では,クォークや電子,光の粒の光子,その他の素粒子が生まれたり消えたりしながらうようよしていたと考えられます。(現在,クォークは6種類,レプトン(電子やニュートリノの仲間)も6種類と考えられています。)
 宇宙創成時には,粒子と反粒子が同じ量だけ生成されたと予想されます。ではなぜ現在の宇宙では,反物質はほとんど見あたらないのでしょうか。(高エネルギー宇宙線などによって,少量の反粒子は現在でも生成されます。)
 サハロフ,吉村らによって,初期宇宙での素粒子反応によってこの事実が説明されることがわかりました。時間対称性およびCPといわれる対称性の破れた相互作用が,膨張する宇宙内で働くことにより,現在の物質と反物質の非対称性が説明できます。この相互作用は,陽子の崩壊とも関連している可能性があります。
 高温高エネルギーの宇宙では,粒子間に働く力も現在我々の周りのものとは異なっていると考えられています。現在我々の知っている力は4つあります。このうち重力と電磁気力の2種類はおなじみだと思います。これに,クォークを結び付け核力の遠因となる強い力,放射性元素の崩壊を引き起こす弱い力の2つを加えて,4種類です。
 素粒子物理学では,これらの力(の少なくともいくつか)は,一つの力を起源としていると考えています。これは「相互作用の統一」と呼ばれます。この統一理論は,先程述べた宇宙における物質と反物質の非対称性の起源も説明する可能性をもっています。また同時に,陽子の崩壊をも予言します。
 ちなみに付け加えますと,最近では3つの相互作用の「大統一理論」のモデルを構築する際には,「超対称性」という新たな対称性を仮定することが,いろいろな理由で,主流になっています。このとき,現在知られていないような多くの「超対称性粒子」が存在することになります。これらのうちでいちばん質量の小さいものが,宇宙のダークマターの候補の一つとなっています。

 もとは一つの力が現在これら異なった4つの力に見えるのは,「真空」の性質によるものと考えられています。同じ真空でも性質が異なるとは,どういうことでしょう。例としては,水がよく用いられます。温度によって,水は氷になったり,水蒸気になったりします。同じ水でも,物理的性質はかなり異なります。このように,真空もいくつかの異なる「相」をもつと考えられています。(もちろん,勝手な類推だけではなく,素粒子物理学の研究から,このような説が最も確からしいと認められているわけです。)超高温の初期宇宙では,水から氷に変わると同じような,「真空」の「相転移」が起きると思われます。氷と水の内部エネルギーが異なるように,異なる真空の相では,「真空のエネルギー」に差ができます。この真空のエネルギーは,宇宙項と同じ役割をします。ある種の真空の相転移では,この真空のエネルギーのため,相転移時に宇宙が激しく膨張する,と考えられています。1917年にアインシュタインが用いた宇宙項は,万有引力とバランスさせるために使われました。今考えている宇宙のはるかに初期の段階では,つり合いを取ることができないので,宇宙項のために宇宙は指数関数的な急膨張をすることになります。これを宇宙の「インフレーション」と呼んでいます。1980年頃,グースや佐藤勝彦らによって,研究が始められました。
 宇宙の大きさはこのとき非常に大きくなるわけですが,今の宇宙の大きさは決まっているわけですから,相転移前の宇宙は非常に小さかった,ということが出来ます。小さい宇宙ならば,温度の均質化は原理的には可能となりますので,前にあげた背景輻射の均一性の問題点2)は矛盾ではなくなります。インフレーションはこのほかにもいくつかの宇宙論の問題を解決します。
 (注:最近では,4つの相互作用とは関係のない相転移を導入し,インフレーションを考えるのがふつうです。)
 量子力学では,非常に小さいスケールでは,全ての現象について確率的な記述しか出来ないことを主張します。したがって,ミクロの世界では,全てのものや値がゆらいでいる,と考えてもよいのです。相転移前の宇宙における小さな量子的ゆらぎが,インフレーションのあとの宇宙のゆらぎに拡大され,銀河の「種」となったという可能性があります。COBEの観測結果は,インフレーションの理論から導かれるものとよく一致していることが解かりました。時間を更に遡って,10の-43乗秒の時点を考えますと,そこでは,量子的なゆらぎが時空全体,つまり宇宙全体の大きさと同じぐらいになります。10の-43乗秒の時点では,宇宙全体が「ミクロ」なのです。


・宇宙の量子論

 実は,一般相対性理論を含む重力理論の量子化はまだ完成されていません。(有力な,重力の量子論への方向として,超弦理論がかなり話題となりました。しかし,初期宇宙の記述にはまだ成功していません。詳しいことは(非常におもしろいのですが)省きます。
 しかし,重力の量子論が出来たとしたときに,どのような宇宙の記述が可能かについては,ある程度まで詳しく調べることが可能です。
 このような「宇宙の量子論」に熱心に取り組んでいるのがホーキングを初めとした理論物理学者です。ホーキングによれば,「宇宙には,始まりを表す点は存在しない。」ということです。つまり宇宙は特定の数学的な「点」から始まったわけではないのです。ホーキングのあげている例によれば,量子論を考慮すれば,宇宙の始まりはちょうど地球の北極点のようなもので,どこにも始まりといったような特殊な点はないことになります。逆にとれば,全ての点が始まりを表している,ともいえます。量子宇宙論においては,宇宙項が重要な役割を演じます。また,インフレーションも自然と組み込まれます。
 またビレンキンによれば,「宇宙は「無」から生まれた」ということになっています。この解釈は,量子力学におけるトンネル効果の類推で考えることができます。「無」の状態から有限の大きさをもった宇宙の状態が突然生まれてくるのです。
 宇宙の量子論を更に考えていくと,我々の宇宙の他にも別の宇宙があるのではないか,という疑問が自然とでてきます。しかしながら,もしそのような宇宙があったとしても,我々はそれを見ることも調べることも出来ません。また,前にも述べましたが,重力の量子論は完成されていませんので,まだまだ深く掘り下げた研究が必要とされています。
 なお,この「宇宙の多重発生」は,宇宙のもっとあとの時代の,インフレーション時にも起こりうることが佐藤らによって指摘されています。ただし厳密には異なる現象ですが。


・宇宙の未来

 宇宙の始まりについては,今のところこれ以上遡っては推測さえ出来ませんので,次に宇宙の未来について考えてみましょう。

 アインシュタイン方程式によれば,宇宙の発展の仕方は銀河を含む物質の量で決まります。現在の物質密度が1立方センチ当たり約10の-29乗グラム(1立方メートルに水素原子1個程度)のときに,空間は平坦で,(率は減っていきますが)いつまでも膨張を続けます。それよりも物質が多く存在すれば,万有引力のため,宇宙はいつの日か再収縮します。また,物質の量がこの臨界値よりも少ないと,いつまでも膨張を続けます(このときは,膨張率は正の一定値に近づきます)。
 銀河などの観測によれば,見つかっている物質の量は,この臨界値の10分の1くらいしかありません。では我々の宇宙は無限に膨張していくのでしょうか。インフレーションの理論では,物質の平均密度は高い精度で予言され,臨界値との比は1になるはずです。インフレーションの考えは,だめなのでしょうか。
 しかし,色々な観測から,宇宙には「見えない物質」が多く存在することが示唆されています。銀河の回転速度を観測すれば,銀河の質量が解かります。ところが,その質量は,星やガスとして光っている分よりも,かなり大きく,また外側まで広がっているようなのです。また,銀河の集団でも,固有運動を調べることにより,「見えない質量」が存在することが解かっていました。これらの見えない物質を「ダークマター」と呼んでいます。ダークマターの正体は,まだ解かっていません。また,インフレーションの予言ほど多くあるのかも解かっていません。候補としては,自ら光らないほど小さな星や,未知の素粒子,ブラックホール等様々です。
 我々の銀河のまわりの暗い天体を,重力レンズ効果を用いて検出する試みが最近なされています。また,別の種類の重力レンズ効果で宇宙の物質の量を探る試みもなされています。ダークマターのすべてを暗い星で説明するのは難しいようです。ふつうの物質だけからなるとすると,理論的にも,元素合成のシナリオと矛盾してしまいます。

 ダークマターが未知の素粒子などの場合,銀河形成時にも存在していたとしますと,重力で物質を多く素早く引きつけますから,重要な役割を演じたかも知れません。統一理論では,いくつかの未知の素粒子を予言しているものもありますので,素粒子物理学者にも盛んに研究されています。
 寿命が宇宙年齢よりも長い粒子,すなわち安定な粒子で質量がある程度大きいものが多いと,宇宙のエネルギー(質量)密度が大きくなりすぎて観測とあわないことになります(宇宙年齢が短くなりすぎます)。
 不安定な粒子が光子を放出して崩壊するとします。このとき,寿命が10の12乗秒より長いときは
今日の宇宙でその光子が観測されるはずです。粒子の寿命が10の6乗秒より長いときは,宇宙背景輻射のスペクトルの中にみえるはずです。寿命が10の4乗秒よりも長いときは(軽い核を壊すため)原子核合成に影響を与えるはずです。このように,宇宙の様々な観測から,未知の粒子の存在と性質に制限を付けることができます。

 もし物質の量が多いと,宇宙は何時かは収縮に転じます。そして150億年以上たった何時か,再び宇宙はビッグバンと似たような状態になります。しかし,密度が高くなりますと,ブラックホールがたくさん生成され,互いに合体し,巨大なブラックホールが出来ます。そのような過程が繰り返されながら,宇宙はどんどん縮んでいきます。
 宇宙の物質の量が少ないと,宇宙は無限に膨張し続けます。だんだんと星をつくる元となる物質の密度が低くなりますから,10の14乗年くらいで光る星がなくなります。残っているのは,白色わい星,中性子星,ブラックホールなどです。10の18乗年までには,銀河の星々も互いの接近遭遇によって,ばらばらになっていきます。10の34乗年も経れば,物質を構成する陽子や中性子の大半が崩壊して,陽電子や他の素粒子になります。これは統一理論の予言です。10の100乗年までには,ブラックホールも量子力学的に蒸発し,最後には宇宙は光子,ニュートリノ,電子,陽電子だけになってしまいます。
 物理学者ダイソンは,電子,陽電子からなる生命を考察しています。人間の想像力はすごいものですね!

 我々の太陽はあと50億年ほどの寿命です。人類の文明は,たったの数千年の歴史しか持っていません。ですが,今日見てきたように,宇宙の始まりから,宇宙のはるか未来までを想像できるということは,全く素晴らしいことです。人間一人一人の頭脳の中には,時間的にも空間的にも広大な,「内的宇宙」(innerspace)がある,と言ってもよいでしょう。我々はこのことに深く感謝し,誇りを持たなければなりません。そしてまた,人類の未来も,立派な(または,恥ずかしくないような?)未来にしていくよう,心掛けるべきだと思います。




おしまい。


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