読書

本を読んでの感想は、原則として、柳瀬があくまでも英語教育の立場からどう読んだかという私見の表明になっています[文中の( )の中の数字は引用ページを表わしています]。また人名に関しては、どんな方に対しても「〜さん」づけで表記してます。2005年9月17日掲載分から、呼称に関しては、無原則(言ってみるなら、私の「気分次第」)とすることとしました。これまでの「〜さん」の原則は鶴見俊輔氏の影響でしたが、新しい(無)原則は内田樹氏の影響です(私って、ほんとに影響受けやすいのよね)。

もしこの小文を読んで興味がわいたら、是非ご自分でその本をご購入なさって、実際にお読みになることを強くお勧めします。
なお、柳瀬はこの「読書」のページに限らず、アマゾンへのリンクをたくさんはっていますが、これは単に読者の便益を考えてのことです。柳瀬はアマゾンとのいかなる商業関係(アフィリエイトなど)も結んでおりません。


カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』早川書房(2007/1/4)

これは一種の近未来小説(SF)ですが、これが現実になるような「すばらしい」時代・世界では、この本のようなしっとりとした語りは、一顧だにされないでしょう。それでは今、この2000年代の日本はどうなのか。私たちはこういった小説にどう反応するのか。これはSFなのか、寓話なのか。寓話とすればこの作品のある部分は現代に当てはまる現実なのか。
作品中、「教育者」も出てきますが、私はその教育者のある台詞に慄然とした後、ふと、自分もこの教育者とどれほど違うというのだ、自分の教育はどれだけ学生に社会を生き抜く力を芽吹かせているのだと自問してしまいました。
一人一人の人生に、このような静謐なトーンで語られるべき物語がある。その物語を私たちは蹂躙してはいけない。抹殺してはいけない。かといってその物語に自足してしまってもいけない。
この作品の静かな語りが私の中に引き起こしたのは、現代への(そして自分への)静かな怒りでした。
私たちは闘う必要があるのでしょう。
静かに、長く。

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