韓国人強制連行訴訟で、11遺族新日鉄と和解


1. 弁護団と支援する会の声明

2. 和解について報じた記事より

 


声明

1997年9月21日
日本製鉄元徴用工裁判弁護団
日本製鉄元徴用工裁判を支援する会

 日本製鉄元徴用工遺族・趙英植他一〇名による遺骨引渡等請求事件(平成七年九月二二日提訴)は、日本政府と新日本製鉄株式会社を相手に、遺骨返還、未払金返還、謝罪、損害賠償を求めて争われてきたが、新日本製鉄株式会社との間で自主交渉が進められ合意に達したので、九月一八日に和解解決した。
 その和解内容は、新日鉄が人道的立場から原告に対し以下の様な慰霊の協力を行うというものである。
(1)遺骨未返還の原告一〇名に対し、一人当たり総額二〇〇万円を支払う。白南悦に対し五万円を支払う。
(2)釜石製鉄所内にある鎮魂社に、原告の親族以外の韓国人犠牲者をも含めた二五名全員の戦災犠牲者名簿を奉納し、かつ、合祀祭を行う。これに出席する原告の旅費を負担する。
(3)韓国における慰霊に関わる費用の一部について負担する。(総額一千万ウォン=約一四〇万円)
 以上のうち、すでに釜石製鉄所内における合祀祭は九月一七日に行われ、原告六名が参加し、翌一八日には総額二〇〇五万円の受け渡しが完了している。
 我々は、今回の新日鉄の対応を英断として高く評価する。
 現在でも日本政府は、韓国に対する補償問題は一九六五年の日韓条約・日韓請求権協定と国内法で解決済みとする不当な主張を繰り返し、一方日本企業もこれに追随して「日韓協定と国内法で解決済み」「すでに時効」であるなどと主張し、韓国の戦争被害者の補償要求をことごとく拒否する理不尽な態度に終始している。こうしたなかで、日本のトップ企業の一つである新日鉄が、韓国の戦争被害者に対して直接金銭を支払いかつ慰霊事業への協力を行った。この事実は、戦時中の強制連行・強制労働の戦後処理の費任を承継法人である新日鉄が人道的立場から認めたものであり、実質的に「日韓協定による解決済み論」に大きな風穴をあけた意義があると考える。
 また、支払われた金額も一九八八年に議員立法で成立した「台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律」に基づき、台湾住民で戦死した軍人や軍属の遺族、台湾住民で戦争中に著しい障害を受けた軍人や軍属またはその遺族に、弔慰金または見舞金として支払われた一人二〇〇万円と同程度のものであり、十分評価できる金額である。

 これによって、遺骨返還、未払金返還等を求めた裁判は新日鉄との間では解決したが、日本政府とは引き続き裁判が縦続する。日本政府の朝鮮人強制連行・強制労働、そして貸金等の未払いと不当な供託、犠牲者の遺骨未返還の責任は重い。我々は一層の原告団との団結を固め、法廷での実質審理を強めるとともに、他の強制連行・強制労働裁判の原告・支援団体とともにTLOに提訴し、国内外の世論に訴え、日本政府を包囲し、原告の要求を実現する決意である。そして、今回の新日鉄との解決がすべての戦後補償実現につながるよう、韓国・中国をはじめアジア各地から日本政府や企業に対して戦後補償を求めているすべての被害者および支援団体との連帯を強化し、引き続き奮闘するものである。
                                     以上
日本製鉄元徴用工裁判を支援する会のホームページはこちらです。


和解について報じたニュースより

09/22 15:51 時: ◎新日鉄和解「戦後補償に風穴」

時事通信ニュース速報

=強制連行訴訟の原告側が会見=

 太平洋戦争中、日本製鉄(現新日本製鉄)の釜石製鉄所に強制連行されて死亡した韓国人の遺族が新日鉄と日本政府を相手取り、損害賠償と遺骨の返還を求めた訴訟で、原告側弁護団と「支援する会」(代表・古庄正駒沢大教授)は二十二日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、約二千万円の見舞金などを条件に新日鉄との間で和解が成立したことについて、「戦後補償問題は日韓協定などで解決済みという国や企業の主張に大きな風穴を開けた意義がある」と評価する声明を発表した。
 一方、新日鉄は「日本製鉄の債権債務を引き継いでいない当社に一切法的責任はないとの主張に変わりはないが、遺骨がなく、故人の魂を鎮めることができなかった原告の事情を察し、慰霊のための協力を行うこととした」とのコメントを公表した。
[1997-09-22-15:51]

225   09/22 00:28 朝: ◇新日鉄が強制連行韓国人遺族に慰霊金二千万円支払い◇

朝日新聞ニュース速報

 太平洋戦争中に強制連行され、旧・日本製鉄(現・新日鉄)の釜石製鉄所(岩手県釜石市)で爆撃などで死亡した十一人の韓国人遺族が、新日鉄と国に遺骨の返還や慰謝料など総額約二億五千万円の損害賠償を求めた訴訟で、原告と新日鉄の間で裁判外の和解が二十
一日までに成立した。会社側が一遺族あたり二百万円の慰霊金(一人については五万円)などを支払い、原告は会社に対する訴えを取り下げた。
 一連の戦後補償をめぐる裁判で、和解が成立したのは初めて。一方で、国を相手にした訴訟は、東京地裁で継続する方針という。
 原告側によると、新日鉄が慰霊金のほかに、(1)死亡した韓国人を釜石製鉄所内の鎮魂社に合祀(ごうし)する(2)韓国での慰霊費用として約百四十万円を支払う、ことを条件に、原告が訴えを取り下げることで合意が成立した。
 新日鉄は今月十七日に、釜石製鉄所で合祀祭を行い、来日した原告に慰霊金などを支払ったという。これを受けて、原告は十八日、訴えを取り下げた。 原告は遺骨の返還に加え、会社と国に対して連帯して一人当たり二千万円の慰謝料の支払いと謝罪広告の掲載などを求めていた。

[1997-09-22-00:28]

235   09/21 22:29 毎: <戦後補償>強制連行の韓国人徴用工遺族に弔慰金−−新日鉄

毎日新聞ニュース速報

 戦時中、日本に強制連行され、日本製鉄(現新日本製鉄)釜石製鉄所で働かされ死亡した元徴用工の韓国人遺族11人が新日鉄と日本政府に、遺骨返還や損害賠償などを求めた訴訟で、新日鉄が21日までに弔慰金として計2005万円を遺族側に支払い、遺族側は訴訟を取り下げた。事実上の和解で、戦後補償をめぐる訴訟では初めて。日本政府に対する訴訟は継続する。
 新日鉄は、遺骨が無縁墓地に埋葬されていたり、確認できなかったとして引き渡しができなかった遺族10人に1人200万円ずつ支払い、遺骨が返還された遺族1人には旅費名目で5万円を払った。また同製鉄所内で慰霊祭を行った。
 原告は1945年の空襲で死亡した徴用工の遺族たちで、95年9月、東京地裁に提訴。新日鉄側は支払い義務はないなどとして請求棄却を求めたが、遺骨については人道上の見地を理由に遺族側弁護団と韓国で合同調査を実施するなど協力してきた。
 「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」代表の古庄正・駒沢大教授は「草の根の日韓友好にいい影響を与える新日鉄の決断は高く評価したい。裁判をしている他の企業も見習ってほしい」と話している。                  【二木 一夫】

[1997-09-21-22:29]


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