10/16 00:46 朝: ◇国籍による旧軍人への年金支給差別「違憲の疑い」

朝日新聞ニュース速報

第2次世界大戦で重傷を負い、障害が残った旧日本軍の元軍属で在日韓国人の姜富中(カン・プ・ジュン)さん(79)=滋賀県甲西町=が、国と厚相を相手取り、「戦傷病者戦没者遺族等援護法」(援護法)に基づく障害年金の請求を却下した処分の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が15日、大阪高裁であった。松尾政行裁判長は、在日韓国人の元軍属らが日韓両国の法のはざまに陥り、現在まで何の補償もされていない点について、「法の下の平等を定めた憲法14条や国際人権B規約26条に違反する疑いがある」として、国に早急な対応を強く求める判断を示した。しかし、「援護の内容は国会の立法裁量に属する問題」として、姜さん側の請求自体は退けた。姜さん側は上告する方針。

言い渡しの後、松尾裁判長は「現行の法体系の中で可能な限りの法的判断を示したつもりです。国が今後できるだけ速やかに、判決で示した判断を通じて問題を再検討し、国際社会から納得が得られるような是正措置が取られることを期待します」との所見を述べた。

原告側代理人の弁護士らによると、在日韓国人の戦後補償問題で、高裁レベルで「違憲の疑い」が指摘されたのは初めてで、国際人権B規約違反に言及した判決も過去に例がないという。

裁判では、1952年に施行された援護法が国籍条項や戸籍条項を設けていることが、憲法14条と国際人権規約に違反するかどうかが争点になった。

判決は、日本国籍を持つ元軍人・軍属には相応の障害年金などが支給されているのに、在日韓国人の元軍属らが補償を受けられない現状について、「著しく不利益な法的扱いを受けている」と指摘。

日韓請求権協定が締結され65年6月以降も、日本と韓国のいずれからも補償を受けられない状態を放置したことには違憲の疑いがあるとし、「国会にはできるだけ速やかに条項改廃や新たな立法措置で、差別的な取り扱いを是正することが要請されている」と述べた。

さらに、憲法14条と同趣旨の国際人権B規約26条についても、「国が規約を批准した79年以降は、同条違反の疑いも生じている」と述べた。

しかし、判決は「援護法に基づく障害年金は社会保障的な側面を持ち、その内容をどう定めるかは、一般的には国会の立法裁量に属する」などとして、請求は認めなかった。

[1999-10-16-00:46]

10/15 22:41 毎: <韓国人旧軍属>大阪高裁の戦後補償訴訟所見要旨

毎日新聞ニュース速報

15日、大阪高裁であった戦後補償訴訟の裁判所の所見は次の通り。

本件は、第二次世界大戦に伴って被った悲惨な戦争被害について、日本国籍を有する軍人軍属らが援護法に基づき相応な補償を受けているのに対し、在日韓国人の軍人軍属らは長期間にわたって日本、韓国のいずれからも何らの補償を受けられないという状況に置かれていることが契機となって提起されたもので、控訴人らが著しく不利益な状況に置かれていることは、十分認識しています。

また、控訴人らに対する不利益が、日韓請求権協定の締結や国際人権規約の批准といった新しい事態が生じた後も、何ら是正されないまま放置され、政治的な解決はもちろん、人道的な見地からの解決も何ら進展していないため、控訴人がその是正を求めるために提訴せざるを得なかった心情についても、相応の理解をしているつもりです。

そのため、当裁判所としても、憲法あるいは人権規約の解釈にかかわる重要な論点を含む事件であるとの認識のもと、現行の法律体系の中で可能な限りの判断をしたつもりです。もっとも、控訴人からすれば、その結論には納得いかないものがあるかもしれません。

しかし、援護法に基づく給付を受ける権利が、社会保障的な側面その他の多様な性質を有している点を勘案すると、現段階において直ちに、国籍条項及び戸籍条項を無効と判断して厚生大臣に給付を命じたり、国(国会)の立法不作為を直ちに、国家賠償法上の違法な行為であるとまで認めることは困難であり、その是正は、第一義的には国会で行うべきものと考えます。

従って、被控訴人らができるだけ速やかに、在日韓国人の軍人軍属らの援護の問題を再検討し、日本が国際社会において占める役割や地位をも十分考慮のうえ、国籍条項、戸籍条項の改廃を含め、国際社会からも十分納得が得られるような是正措置が取られることを期待します。

[1999-10-15-22:41]

10/15 22:41 毎: <韓国人旧軍属>「援護法の国籍要件見直しは困難」官房長官

毎日新聞ニュース速報

青木幹雄官房長官は15日の記者会見で、在日韓国人補償訴訟の控訴審判決で大阪高裁が原告の請求を退ける一方で、国に補償制度の是正を求めたことについて「韓国との補償問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で在日韓国人にかかわるものを含め、法的には完全かつ最終的に解決済みになっており、援護法の国籍要件を見直すことは現段階で困難」と述べた。そのうえで「これらの方々の置かれた現状を十分に考慮し、関係省庁の協力も得て内閣外政審議室で調査、検討を行わせており、引き続き関係方面の調整を図っていきたい」と語った。

[1999-10-15-22:41]

10/15 21:26 毎: <韓国人旧軍属>障害年金不給付不当の控訴を棄却 大阪高裁

毎日新聞ニュース速報

旧日本軍軍属として第二次世界大戦に従軍し負傷した滋賀県甲西町の在日韓国人、姜富中さん(79)が「日本国籍・戸籍がないのを理由に戦傷病者戦没者遺族等援護法(援護法)の障害年金を給付しないのは憲法14条(法の下の平等)に違反する」と、年金給付請求を却下した国の処分の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が15日、大阪高裁であった。松尾政行裁判長は、請求を退けた1審・大津地裁判決を支持し控訴は

棄却したが、高裁レベルで初めて「憲法14条と、国際人権規約B規約に違反する疑いがある」との司法判断を示した。さらに現状の立法不作為の状態が続いた場合、国家賠償法上の違法行為になる可能性を示唆し、国会に早急な立法措置を促した。姜さんは上告の方針。 

松尾裁判長は判決言い渡し後に異例の「所見」を朗読。「政治的な解決はもちろん、人道的見地からの解決も進展せず、訴訟を提起せざるを得なかった原告の心情は理解している」と述べ、「国(国会)は日本の国際社会での役割や地位を考慮し、国籍・戸籍条項の改廃を含め、国際社会からも納得が得られる是正措置をできるだけ速やかに取ることを期待する」と重ねて早急な解決を要望した。

姜さんは1945年2月、海軍軍属としてソロモン諸島に派遣され、右手の指4本と右目の視力を失ったが、援護法の「国籍・戸籍条項」で在日韓国人は補償の対象外になったため、年金は給付されなかった。

国籍・戸籍条項の違憲性が最大の争点だったが、松尾裁判長は「援護法立法(52年)当時、在日韓国人に対する戦後補償は、日本と韓国の平和条約に基づき行われる予定になっていた」とし、条項そのものは憲法14条に違反しないとした。

しかし、65年の日韓協定締結以後については「在日韓国人軍属の被害が日韓両国から補償されないことが分かったのに、引き続きこの条項を適用して補償しないことは憲法に違反する疑いが強い」と判断。

また国際人権規約B規約26条は「差別なしに法律による平等の保護を受ける権利」を定めており、松尾裁判長は「日本が条約を批准し、効力が発効した79年9月以降は、同規約に違反する疑いがある」と述べた。

松尾裁判長は今年5月「21世紀までに解決すべき問題。法的には妥協の余地はないが、救済の問題としてお互い譲歩してもいいのでは」と異例の和解勧告を行ったが、国側が和解を拒否した。【和泉かよ子】

[1999-10-15-21:26]

10/15 19:44 共: 国籍条項は違憲の疑い 初判断 在日軍属訴訟で大阪高裁

共同通信ニュース速報

旧日本軍属として徴用され負傷した在日韓国人の姜富中さん(79)=滋賀県甲西町=が、日本国籍がないことを理由に戦傷病者戦没者遺族等援護法(援護法)に基づく障害年金の支給請求を却下した国の処分取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁の松尾政行裁判長は十五日、「法の下の平等を定めた憲法一四条と国際人権規約に違反する疑いがある」との判断を示した。 同種訴訟で、違憲性に言及した高裁判決は初めて。      

訴え自体は「国籍・戸籍条項は失効していない」として、請求棄却の一審・大津地裁判決を支持したが「国会には条項改廃などの是正が要請されている」とし、放置し続けた場合には違法性が生じる可能性も示唆。一時金支給などの救済策を検討している国は、早急な措置を迫られそうだ。 松尾裁判長は、判決朗読後に異例の「所見」を述べ、その中でも是正措置への期待を表明した。姜さんは上告する。       

判決で松尾裁判長はまず、支給対象を日本人に限定する援護法の国籍・戸籍条項について「憲法の趣旨に沿うものか疑問は残るが、一九五二年の立法当時、在日韓国人らに対する戦争被害の賠償問題は日韓両国の特別取り決めの対象とされており、直ちに違憲とは言えない」とした。    その上で、六五年の日韓請求権協定締結で、両国からの補償がないことが明白になった以降について検討。「立法時の事情に変化が生じたもので、元軍属らに引き続き、条項を適用し給付しないのは著しく不利益な取り扱い」と判断、憲法、国際人権規約に違反する疑いを指摘した。    さらに「国会には、速やかな条項改廃など立法措置が要請されていると言うべき」とし、放置した場合には「国家賠償法上の違法行為と評価され得る」とした。               所見の中で、松尾裁判長は「現行法の中で可能な限りの判断をしたつもり。国際社会も納得する是正措置を期待する」と述べた。 

姜さんは四二年に旧日本軍に徴用され、ソロモン諸島の戦闘で右手の大部分を失うなどした。障害年金を申請したが却下され、九三―九四年に提訴したが、九七年の一審判決は「国籍条項には合理的根拠がある」として請求を棄却。控訴審で大阪高裁は今年五月、和解を勧告したが国が拒否した。                

[1999-10-15-19:44]

10/15 19:43 共: 国は早期の救済措置を 重い「違憲の疑い」の指摘

共同通信ニュース速報

【解説】第二次大戦で負傷した在日韓国人元軍属の補償をめぐる訴訟で、国の救済措置を強く促した十五日の大阪高裁判決は、高裁段階で初めて現状を「違憲の疑い」と指摘した点で、極めて重い意味を持つ。                         

日本人として戦地へ赴き、傷ついた在日韓国人の元軍人・軍属は、救済の網から漏れた格好で、いまだに無補償の状態にある。高齢化が進み、死亡する原告らも出ており、これ以上放置することは許されない。                         

この日の判決は「著しく不利益な状況」との認識を示し、今後、是正しなければ立法不作為により、国会に責任が生じ得ることを指摘。これまでの同種訴訟の判決の中でも、最も強い調子で解決を促した。                           

しかし、結論については「是正は一義的に立法政策の問題」とする従来の司法の立場にとどまり、請求自体は退けた。      

原告側が「『裁判所としてはこれが限界』という苦悩が表れている」(弁護団)と見る通り、この問題は、司法による解決の限度を超えていると言える。                  国は「日本が国際社会での役割や地位を考慮して、納得が得られる是正措置を」(裁判長の所見)という呼び掛けを重く受け止め、早期に政治決断をするべきだろう。           [1999-10-15-19:43]

10/15 19:43 共: 評価できるが救済が急務 姜富中さんの弁護団の話

共同通信ニュース速報

姜富中さんの弁護団の話 

在日韓国・朝鮮人の元軍人・軍属は、戦争が終わると一方的に国籍を奪われ、年金支給を拒まれた。人道的にも許されない。第二次大戦中、植民地の人々を軍務に使った国は少なくないが、年金などの支給を全く認めないのは日本だけ。判決は、国会に速やかな是正措置を要請しており相応の評価はできるが、救済は急務であり、最高裁に上告して不平等を是正したい。 

[1999-10-15-19:43]