3月11日、ILO(国際労働機関)条約勧告適用専門家委員会は年次報告を公表し、第二次大戦中に中国や朝鮮半島から強制連行され、日本の鉱山などで強制労働させられた問題を取り上げ、「ひどい労働条件のもとで労働者を徴用し、強制労働に関する条約(29号条約)に反する」との見解を示した。さらに被害者への補償措置について委員会報告、「政府間の支払いは犠牲者には十分なものではない」と指摘し、日本政府が青任を引き受け、被害者の期待に沿う措置をとるべきであると勧告している。
また、委員会報告は「慰安婦」問題を取り上げ「アジア平和国民基金からの一時金支給や首相の謝罪表明が拒否されている事実は、大多数の被害者の要求が満たされていないことを示している」と結論付け、日本政府による迅速な個人個人補償を要請した。
専門家委員会報告の意義の第一は、「慰安婦」問題、強制労働問題を一体のものとしてとらえ、第二次大戦下における日本政府(企業)の戦争犯罪=ILO29号条約違反をかなりのページを割いて断罪していることである。
第二には、「慰安婦」問題について、96年、97年に続き3回日の報告を出し、「AWF(アジア平和国民基金)で解決済み」との日本政府の主張を斥け、AWFは被害者の要求に応えでおらず、国家補償以外にないことを認定したことである。
意義の第三は第二次大戦下の強制労働についてILOとして初めて−報告し、判断を示したことである。委員会の判断の要点は、@民間企業の強制労働はILO29号条約違反である、A政府間の経済援助で解決済みという日本政府の主張を斥けた、B日本政府に情報提供を求め、今後のフォローアップを宣言したことである。企業が出資する基金を創設し強制労働被害者への個人補償を行おうとしているドイツなどの動きとも相俟って強制労働問題の解決を大きく促すものである。
この画期的な委員会報告をもたらしたものは、何よりも被害者自身の訴え、裁判を初めとした困難な粘り強い闘いである。そして、その中で、この問題に戦後補償団体や人権団体だけでなく労働組合が積極的に関与し、問題解決に向けての活動に取り組み始めたからこそ実現したものである。委員会報告は230を越える日本の労働組合による申し立て、大阪府特別英語教師組合(OFSET)、韓国労働組合総連合(韓国労総)からの申し立て・情報提供を受け止めたものである。
また昨年の6月には日本、韓国の戦後補償団体、労働組合がILOの総会で共同でキャンペーンを行い、10月の韓国金大中大統領来日や3月19日からの小渕首相の訪韓を契機にした日韓市民団体の連帯運動など、国際連帯運動が飛躍的に拡大・強化したことの反映である。
日本政府はもはや逃れる道はない。国連人権委員会やILO専門家委員会の勧告に直ちに従うべきである。我々は、国内の闘いをいっそう広げ、国際連帯を強化し、日本政府がILO専門家委員会勧告を受け入れ、実行するまで闘うことを決意するものである。
以上