花岡裁判勝利和解にあたっての声明
2000年11月29日
強制連行・企業責任追及裁判全国ネットワーク
11月29日、東京高裁において花岡裁判の和解が成立した。和解内容は、90年7月5日の共同発表を再確認した上で、花岡事件の中国人被害者(986人)・遺族の慰霊、生活支援等のために、鹿島建設が5億円を拠出し、基金を作るというものである。20世紀の終わりにあたって、このような和解が成立したことは意義深く、画期的である。
花岡裁判和解は以下の通り大きな意義を持つ。
1)「事実として認め企業としても責任があると認識し、当該中国人生存者及びその遺族に対して深甚なる謝罪の意を表明」した90年7月5日の共同発表を再確認するという形で、鹿島建設が明確な謝罪を表明したこと。加害企業が謝罪を公式に表明し、和解を受け入れたのは初めてのことである。
2)基金方式を採り、被害者・遺族全員を救済対象とする和解であること。先行する3つの和解が原告だけ、あるいは原告と一部利害関係人を救済対象とする部分的解決であった(そうであったからと言ってその意義が何ら損なわれるものではないが)ことと比較すると画期的和解と言える。
3)中国紅十字会(名誉総裁=江沢民国家主席)が和解交渉に参加し、基金の受託者ともなるという形で関与し、鹿島建設もこれを受け入れた。この方式はすべての中国人強制連行の加害企業にとって、今後の解決に向けた先例ともなるものである。
4)東京高裁が「戦争がもたらした被害の回復に向けた諸外国の努力の軌跡とその成果にも心を配り、従来の和解の手法にとらわれない大胆な発想により」(所感)和解案を提示するなど積極的に関与して成立したこと。日本の司法の「歴史認識と度量」を示したと原告側弁護団も高く評価しているが、戦後補償裁判における日本の司法の政府追随、立法府への責任転嫁の反動的ないし消極的な姿勢を脱皮するひとつの萌芽とも見ることができる。今後の司法判断に大きな影響を与えることが期待される。
5)鹿島建設が和解を受け入れたことは、一方で日本政府に対しても重い解決責任を負わせる。強制蓮行問題には日本政府が深く関わっていることは明白であり、その責任は免れない。強制連行企業の中には、戦後解散、消滅した企業も少なくない。このような企業に連行された被害者を救済するためには、日本政府が責任を果たす以外にない。
今回の花岡裁判和解は、4例日の和解、中国人強制連行事件で初めての和解ということに止まらない、大きな意義を有しており、強制連行問題の包括的解決に向けての展開を大きく切り開いたものとして、後世においても高く評価されることは疑いない。
花岡裁判和解を受けての我々の課題は明確だ。
まず、すべての強制連行企業、とりわけ現在裁判で係争中の企業に対して、話し合いによる解決を決断するよう迫っていかなければならない。花岡裁判でも原告11名中3名が和解を見ることなく亡くなっている。被害者も高齢化している中で一日も早い解決が求められているのである。とりわけ、中国人強制連行に関しては「35企業・135事業所・4万人弱」と加害企業も被害者もほぼ確定している。鹿島建設が和解に踏み切った以上、他企業がこれを拒む理由・根拠は一切存在しないのである。
また、新日鉄、NKK、不二越など「部分和解」した企業に対しても、鹿島建設のように「基金方式」を採用しての包括的解決に踏み出すよう求めなければならない。経団連など経済団体に対しても、ドイツの先例に学び包括的解決の道を探るよう迫っていく。「グローバルスタンダード」を標榜するのであれば、この問題についても、同様の「グローバルスタンダード」で臨むべきである。
そして、日本政府によるすべての強制連行問題、戦後補償問題の解決に向けて、我々は最終的な立法解決を求めて、国会内外を結んで一層闘いを拡大していくことを宣言するものである。