父は弱い。だが父は強い。父の「原型」から21世紀の父親像を考える。
受け入れ、養う。それが父親の役割だ。望まずしてイエス・キリストの父となった聖ヨセフ。聖書にはほとんど言及のなかった1人の「父」がすべての「父」のモデルになったのはなぜか。ヨセフ像の変遷をたどりながら、現代に必要とされている真の父の「ありかた」を考える。
目次
序章 可能性のヨセフ
第1章 ヨセフの生涯
第2章 観想のヨセフ――聖フランチェスコの馬小屋
第3章 政治のヨセフ
第4章 ヨセフが父になったわけ
第5章 不思議のヨセフ
第6章 ヨセフの21世紀
終章 「強い父」と聖ヨセフ
講談社選書メチエ(2007/8) 1575円
☆著者のコメント☆
前に同じ選書で『聖母マリア』を出したので、だんなさんのヨセフを並べたくて企画しました。ヨセフは地味ですが、なかなかパワーのあるキャラです。それなのになぜタイトルが『弱い父』かというと、それが編集者の希望だったからです。
いやしくもイエス・キリストの養父を「弱い父」と言ってしまうのはちょっと迷ったんですが、良く考えると、このヨセフを家長とする聖家族のメンバーの名を唱える時、昔から、「イエス・マリア・ヨセフ」と唱えるんですね。危機に瀕した時に「お助けを!」という感じで「イエス・マリア・ヨセフ」です。必死に働いて聖母子を守ったヨセフはいつも最後です。まあ、イエスは神の子、マリアは人間だけど、お母さんのアンナの体に宿った時から原罪を免れているそうですから、生まれつきの聖女で、この順番以外は考えられないでしょう。
ふと、日本の家庭内ヒエラルキーというか、家で大切にされている順番というかを示す表現を思い出しました。
「子供、母、犬、猫、父、金魚」というやつです。これを聞いたらたいていのお父さんは、「ああ、金魚の下でなくてよかった」とほっとするとかいうやつです。昔は「地震、雷、火事、親父」と、最下位ながら「怖い」存在だったはずなんですが・・・今じゃせいぜい「ちょいワル親父」とか、「ちょい」ですよ。
いまどき「父権」なんて持ち出すと「それなに?」って言われそうだし、妻からどんなにモラル・ハラスメントを受けても、手を上げればDVで、妻から殺されることすらあるようです。中高年男性の自殺はすごい数です。いったん「父権」を手放すとここまでくるのでしょうか。
で、「イエス、マリア、ヨセフ」という最後尾の立ち位置だったヨセフは、決して今の日本の多くのお父さんたちにとって遠い存在じゃないわけです。だから、弱い父ヨセフが実は最強の父でもあることの秘密を是非さぐってほしいと思ってこの本を書きました。父権や父性というジェンダー・イメージも考え直してみようと思いました。そう、誰でもヨセフになれるし、ヨセフ的幸福に照らされることもできるのです。
一般書で聖ヨセフについての本は日本では少ないかと思うので、キリスト教文化圏における聖ヨセフの姿をいろいろな面からとらえました。いろんな読み方をしてくだされば嬉しいです。この著作紹介のコーナーに、これまでの本の正誤表も載せていく予定なので、このヨセフの本についても気がつくことがあればどうか感想欄にお寄せください。どんなに注意していても単純ミスはもちろん、思い違いや勘違いや間違いが残ることがあり、ご指摘によって直せるところは直そうと思っています。
では、弱い父、聖ヨセフをどうぞよろしく。
(2007/8/15)
万能の天才、魔術師、同性愛者、両性具有者、秘密結社の首領…。
ルネサンス以降、様々な妄想により紡がれたレオナルド・ダ・ヴィンチをめぐる伝説の背景と系譜を西洋思想の地下水脈から検証する。
『ダ・ヴィンチ・コード』の関連書はたくさん出ていますが、個々の領分についてコメントをつけたものばかりです。唯一、大きな世界観にたって『ダ・ヴィンチ』をめぐる伝説について分析した作品です。
ダ・ヴィンチをめぐる伝説の生成背景と系譜を検証:「ひとりの芸術家が、今日に至るまで、なぜ様々な物語の主人公にされてしまったのか」に着目、ルネサンス以降、どのような形で生まれ、どのように変わっていったかを検証する。ダ・ヴィンチ本の多くが謎解きや暗号解読に振り回された雑多な内容ばかりのなかにあって、ダ・ヴィンチが生きた時代とキャラクターが西洋思想の大きな流れに取り込まれやすかったかを解読する画期的な論考です。
ルネサンス以降に紡がれた様々な知識人の妄想:ダ・ヴィンチについて最初の評伝を書いたヴァザーリの創作にはじまり、フロイトの誤読、憂愁の世界に妄想したボードレール、ヴァレリーの誇大評価、世紀末の徒花ペラダン、さらに『レンヌ・ル・シャトーの謎』、『ダ・ヴィンチ・コード』などアングロサクソンによる異端・陰謀史観にみられる類似性を指摘し、数世紀にわたってダ・ヴィンチの物語がいかに増幅されていたかを多くの図版と資料により解説。
中央公論新社 (2006/05) ¥1,900+税
僕はキリストのクローンなのか? 次々と起こる不思議は奇蹟なのか?
2026年、アメリカ政府はイエスのクローン計画を再始動、聖骸布の血痕から創られたという若者を発見した!
聖なる血脈を受けついだ彼の運命は?様々な陰謀が渦巻き、予期せぬ結末を迎える…。
ディディエ・ヴァン・コブラルト DIDIER VAN CAUWELART
1960年、フランス・ニース生まれ。82年に『20歳と少し』でデビュー。「抑制された文体」と絶賛され、デル・デュカ賞受賞。84年に『愛の魚』でロジェ・ニミエ賞、87年に『幽霊のバカンス』でグーテンベルク賞、94年に『片道切符』でゴンクール賞。97年にミシェル・ルグランと共に作った『壁抜け男』(マルセル・エメ原作)はその年のモリエール賞(ミュージカル部門)を受賞。映画やテレビのシナリオからコミックの原作まで幅広い活躍をしている。2001年にはメキシコシティに実在するカトリックの聖遺物であるグラダルーペの聖母像をテーマに『御出現』を発表した。
中央公論新社 (2006/04) ¥2,200+税
日本では「欧米」とひとくくりにされるキリスト教文化圏ですが、本当のところは「欧」と「米英・アングロサクソン」の真っ二つに分かれています。その違いを解説し、アメリカ〈グローバリズム〉に「NO」と言った唯一の国〜フランスの政治姿勢をユニヴァーサリズムの視点から分析します。
文春新書(2006/2/20)\777
ジャンヌ・ダルクからマザー・テレサまで様々な聖女の数奇な生涯と奇蹟の謎を探る。
なぜ無数の聖女が必要とされるのか?気鋭の比較文化史家・宗教研究家が、ローマ・カトリックが受け入れてきたフォークロワ的側面を照射しつつ、様々な聖女を、社会・文化的背景や心理、宗教などの観点から多角的に分析、人々の癒しの構造を探る「聖女伝」の決定版。
中央公論新社 (2004/11) ¥2,310
お告げが聞こえた?御出現に立ち合った?古今東西の不思議現象から
五感の官能と敬虔を見極め、水、火、夢、オーラ、占いなどから
聖なる力を拝領する……
「あっちの世界」と上手につきあうための神秘主義の実践は、現実の生産生活にどっぷりと漬かっている普通の大人にも可能だ。日常を離れて、知覚不可能な「あっちの世界」を垣間見たり、感じたり、メッセージを受けたりしながら、結果的に日常を充実させその後の生き方を決定するものだ。大人の神秘主義とは、特定の教義や教祖に取り込まれることなく、ある程度知的に処理して、危機管理をしながら楽しめ、しかも魂の深いところを癒し養ってくれるようなものでありたい。本書では、知覚不可能領域とのコミュニケートの可能性に着目して、ミスティカル・サーフを試みよう。神秘主義を構成しているシンボリックな言語がわかるようになったら、後は自己流にアレンジできる。そうしたら、「マイ神秘主義」の始まりだ。
中央公論新社 (2005/04) ¥1,365
バロック音楽はなぜ「癒す」のか。その謎を、当時のヨーロッパで主流だった身体論にアプローチすることで問題を掘り下げ、解き明かす。人間は心身を備えた存在で、その「心身まるごと」を追求したのがバロック音楽である。近年、バロック音楽が「癒しの音楽」として復活したのは、それがすぐれて心身的な音楽だからである。本書はバロック音楽の実践を通して心身の良好感をとりもどすための案内であり、著者の体験を通した比較文化的視点から語られる新しい心身論である。
目次より:「気の動き」に注目するバロック/高齢者と障害児を教える/東洋的身体観を持つフランス・バロックとその変容/ピアノのタッチと共感覚/音楽の色彩感と科学主義/近代産業としての音楽と舞踊/クラシック・バレエの体/音楽のキネジテラピー(整体術)/自己暗示とムドラ/音楽療法としてのコンサート/出雲の阿国はバロック音楽を聴いたか/プロテイン・ミュージックの不思議/アンサンブルと神秘体験/太極拳とバロック・バレエ 他
音楽之友社 (2003/10) ¥1,680
コンクラーベとは? 護衛兵はスイス人? 女法王がいた? ベネディクトとは欧州の守護聖人?
十億八千万にものぼる世界のカトリック信者のネットワークを駆使した最先端のヴァーチャル国家ヴァティカン。その頂点に立つローマ法王とは如何なるものなのか? 二千年にわたってヨーロッパの文化や精神の核として歴然と存在し続けたこの超国家的・超宗教的な怪人の姿を過去・現在・未来の重層する歴史の中に探る
中公文庫(2005/06)¥781+税
筑摩書房 (1994/03)
講談社 (1998/08)
筑摩書房 (1995/08) ¥693
工作舎 (1996/08) ¥2,520
文春新書 (2001/07) ¥714
朝日新聞社 (1998/01) ¥1,890
講談社新書 (1997/01) ¥735
講談社選書メチエ (2002/09) ¥1,680
岩波書店 (2001/02) ¥2,625
筑摩書房 (1995/09) ¥2,854
文春新書 (1999/11) ¥693
文芸春秋 (1999/06) ¥1,600
気球の本 NTT出版 (1996/01) ¥1,325
文春ネスコ (2001/12) ¥1,365
青土社 (1998/07) ¥2,730
分担執筆の著作でこの中の「カバラとノストラダムス」を書いています
岩波書店 (2000/02) ¥3,045
分担執筆の著作でこの中の「フリーメイスンとグノーシス主義」を書いています
岩波書店 (2000/02) ¥7,140
A. キュレリオーギュスタ, M.G. ルー著、 竹下 節子 翻訳
ドン・ボスコ社 (2001/04) ¥945
A. キュレリオーギュスタ, C. エティヴァン 著、 竹下 節子 翻訳
ドン・ボスコ社 (2001/04) ¥945
シスター・ジュヌビエーヴ・ルー 著 竹下 節子 翻訳
ドン・ボスコ社 (2001/04) ¥945