レーザ・用語集

レーザについての用語集です。とにかくわかりやすく説明することに気を配りました。
まだまだしょぼいですが、長い目で見てやって下さい。





・回折
・干渉
・光速
・光弾性効果
・共焦点レーザスキャン顕微鏡
・公称眼障害距離:NOHD
・公称眼障害区域:NOHA
・最大許容露光量:MPE
・被曝放出限界:AEL
・コヒーレント光
・ファラデー・アイソレータ
・偏光
・モードロックレーザ
・誘導放出
・UV/O3洗浄
・ライダー
・レーザ・アニール
・レーザ兵器
・レーザ・レーダ

共焦点レーザスキャン顕微鏡(Confocal Laser Scan Microscope:CLSM)

 透過型の物は、生化学の分野で多く用いられる蛍光顕微鏡の中でも、特に性能の優れた顕微鏡で、蛍光体染色された試料の三次元立体構造を非常に高い分解能で測定でき、多重蛍光染色試料を画像のずれなく同時に測定できる利点を持ちます。

 高輝度な紫外線(または可視)レーザを試料表面に集光しながらスキャン照射すると、その焦点で励起された蛍光体が蛍光を放ちます。これを分解能の高いバンドパスフィルターを通しフォトマル(光電子増倍管)で高感度に検出すると、微小な発光でも今までよりも高い波長分解能で試料の蛍光マッピングが測定できます。さらに、焦点位置をZ軸方向にスキャンすれば、断面図が作成でき試料内部に渡って三次元の蛍光マッピングが可能になります。多重蛍光染色の場合には、今までの顕微鏡で問題になっていた、クロストークという多種類の蛍光体の蛍光波長の混ざり合いによる発光領域の誤認がほとんど無くなります。

 実際に撮影された画像を、従来のものとCLSMのものとで比較してみるとその美しさは明らかで、従来の蛍光顕微鏡ではぼんやり輪郭のはっきりしない生体試料の画像がCLSMではその細かい染色された組織がまるで毛細血管のようにはっきりと見え、さらに好きな場所を断面測定できる優れた性能を持っています。

 但し問題点として、非常にきれいな像を得るには光学系を最適化せねばならず、これがかなりシビアで、光学系を調節する間に試料自体の変化や焦点のズレが著しい。これは走査型電子顕微鏡(SEM)でもよく起こる焼きつきと同じ事ですが、レーザーがフォーカスされながらスキャンされる事が原因で、紫外レーザを使用した場合特に試料表面の劣化が著しくせっかくセッティングした頃には、試料がざらざらになってしまっていたり、熱伝導の悪いスライドガラスや熱膨張の大きいスライドガラスではマップの積算中にフォーカスがズレてしまったりもするようです。従って、きれいな画像を得るにはかなり習熟したテクニックが必要になるようです。

 使用されるレーザは、空間分解能上では短波長の光が有利ですが、蛍光を発光させる必要があるため、染色に使用する蛍光体の吸収波長によって決まっています。先ほども述べた様にあまり短すぎると試料が破壊される恐れもあります。したがって、Ar・Krイオンレーザ(364, 488, 568, 647 nm)He-Neレーザ(543, 633 nm)などが用いられています。
 ※個人的には、パルスや多光子吸収などが利用できれば、更に分解能の高い装置ができるのではないかと考えているのですが…

 CLSMは蛍光顕微鏡としてだけではなく、透過、反射光像の取得や位相差干渉による像の観察も可能です。



 一方、反射型のものは主に表面の凹凸などを測定する高倍率顕微鏡(×10000)兼、表面荒さ計として広く用いられています。(800万円位?)


光速(Velocity of light)

 光、電波は同じ光子(photon)と言う粒子からできています。光子は粒子でありながら、波の性質を持っています(振動しながら動くのを想像して下さい)。
 この波の一周期の長さ(波一個分の長さ)を波長と言いますが、この長さが、1×10E-9 m〜 約1 mmまでの光子を光と一般に呼んでいます。(紫外、可視、赤外光)約1mm 以上の物を一般に電波と呼んでいます。
 ある波長の光子の、ある媒体の屈折率をnとするとその速度vは、v=c/n と表せます。ここでcは光子の真空中の速さ3.0×10E+8 m/sです。
 屈折率は、媒体の吸収に深く関わっていますので、速度は波長が小さい大きいとは無関係でその波長での吸収の度合いによって大きく変わってきます。
 従って、速度は屈折率が大きければ大きいほど速度が小さくなります。


コヒーレント光(Coherent light)

 普通の光はインコヒーレントつまりコヒーレントでない光です。では、コヒーレントな光とは普通でない光と言うことになります。何が普通でないかというと、ものすごく強い光なわけです。なぜ強いかと言うと、よく揃っているからです。
 光とは幾つもの光子から成っています。光は粒子としての性質を持っていますが、同時に波の性質も持っています。光の強さとは、この光子の波を重ね合わせた波の高さ(振幅)と考えます。(光子の量と光の強さは別物と考えるのがポイント)普通の光は、この光子の波が不規則に混ざり合っているため必ずしも1光子+1光子=2光子の光の強さにはなっていません。1光子+1光子=2光子の光の強さになるためには、波の波長が同じで、位相が揃っていて、同じ方向に進み、空間的に同じ位置(重ね合う位置)にいないといけません。この波がずーっと続いているとき、この光はコヒーレント光と言います。
 正確に言うと実は、自然界にコヒーレント光は存在しないのですが、それに近いものがレーザ光と言うわけです。


最大許容露光量【MPE:Maximum Permissible Exposure】

「通常の環境のもとで、人体に照射しても有害な影響を与えることがないレーザ放射レベルの最大値」と定義されています。
最大許容といっても、これを超えてレーザを浴びると、即座に障害が起きると言うものではありません。
半分の確率で皮膚や網膜が障害を起こす照射量の「十分の一」の照射量を、概ねそのレーザの最大許容露光量と定めています。
波長と露光時間(又はパルス幅)で決められ、単位はパワー密度[W/m2 or J/m2]で示されます。
これを元に、レーザのクラス分けに使う、AEL(被曝放出限界)を定めているわけです。


被曝放出限界【AEL:Accessible Emission Limit】

「各クラスで許される、最大の被曝放出レベル」と定義されています。
被曝と言っても当たり前ですが、放射能放射線とは関係ありません。レーザが人体に照射される事を被曝と言っているだけです。「光線の曝露を被る」の意味ですね。(被爆も被曝も国語辞典では同じ意味ですがね)
要するに、そのレーザが属する安全クラス(1とか2とか3Bとか)に規定されたAELを超えて、ビームをを出す事は有りませんよ、と云う事を示しています。
逆に言うと、レーザ機器製造者は、定められた測定方法で、性能上可能なあらゆる動作モードで、表示されているクラスのAELを超えないように慎重に検査しないといけない事になります。
MPEを元に「それの何倍」と言う形で、各クラスのAELが定められており、波長と露光時間(又はパルス幅)、パルス変調モード、広がり角等様々なレーザの条件で計算されます。単位はパワー[J or W]又は、パワー密度[W/m2 or J/m2]で示されます。
レーザ機器製造者は、それら基準に照らし合わせて、装置に適切なクラス表示を行っています。


モードロックレーザ(Mode locking)

短パルスレーザ等で必要な技術です。
分子の分解反応等を短い時間(数百ピコ秒からナノ秒程度)で測定しようとすると短い時間パルス幅の光を使う必要が有りますのでこのようなレーザが必要なわけです。
簡単に言うと、レーザのほとんどは多モード発振で幾つかの波長のレーザ光が混ざり合っていますが、とびとびのそのレーザ波長は、理想的な状態では、スペクトルがある一定間隔にピークを持つようになるはずです。しかし、実際には、等間隔にならずにずれています。従って、位相がそろわずに、干渉し合って、そのピークが不規則に強くなったり弱くなったりしてしまいます。もし、光が共振器の間を一往復する時間に合わせて、種になるレーザ光を強くしたり弱くしてやれば、波長の間隔が一定になり、強くなった時に増幅された光のみが干渉しあいながら発振され、(最初だけ)位相をそろえて鋭いパルスピークとなって出てきます。この時間パルス幅はこの波長の広がりの幅が広ければ広いほど、干渉し合うため速い速度で減衰するので、時間パルス幅は小さくなります。こうやって、ピコ秒パルスが作られます。波長幅が広がっているほど有利なので、線幅は太くなります。この、強くなったり弱くなったりする周期を共振器に合わせてやることをモード同期と言います。
ちょっと難しい話で、わかりやすくすると余計に判らなくなってしまいますが(時間パルス幅、スペクトル線幅、と二次元に話が広がっている)、このことをちゃんと理解するには、多モード発振の原理と、インターフェログラムの発生原理を理解していないと無理なことかもしれません。(正直、私も完全には理解できてないかもしれません)


ファラデー・アイソレータ(Faraday isolator)

 YAGレーザのマニュアルでよく目にする言葉ですが、その役割は反射光(戻り光)をシャッターアウトして、光学系や、レーザ媒質を守る物です。つまり、一方向の光のみ通して、反対方向の光は通さない、電気回路で言うところのダイオードと全く同じ機能を光で行う装置です。
 機能は単純ですが、マニュアルでは、その中身はブラックボックスの様に扱われていることが多いので、その原理について調べてみましょう。

 まず、ファラデー効果のある物質が必要です。これをファラデー・セルと言います。実際にはYIG結晶(イットリウム・アイロン・ガーネット:Y3Fe5O12)などの磁気光学効果のある結晶を用います。このような結晶のある方向に磁場をかけてやると、その方向に入射した光の偏光面をその磁場の強さ分だけ回転させることができます。しかも、この偏光面の回転能は反対から光を入れても同じ方向に回転するところが重要です。

 いま、このファラデーセルの前に、これから入射する偏光したレーザ光の偏光方向に平行な偏光方向を持つ偏光板を置き、ファラデーセルの後ろに、45度偏光方向を傾けた偏光板をおいておきます。そして、このファラデーセルに入射光の偏光が45度回転する様に磁場を調節してかけておきます。ここに偏光したレーザ光を入射します。最初の偏光板は難なく通り抜けられます。次ぎにファラデー・セルを通る間に、偏光面は回転し、出てきた光は45度に偏光面が傾いています。そして、二つ目の偏光板も45度に傾いているので、問題なく通り抜けられます。

 さて、ここでもしこの光が反射ミラーや、プリズムの反射光で跳ね返ってきたとします。この反射光は、入射光と全く同じに偏光面が45度に傾いた光なので、後ろの偏光板を通り抜けられます。そして、ファラデー・セルに入ります。ファラデー・セルでは、入射方向に関係なく光を同じ方向に45度回転させますから、光は更に45度つまり90度偏光面が傾いてファラデーセルから出てきます。これは最初の入射光に対し、垂直の偏光面です。そして手前の偏光板で阻止され光は通る事ができません。
 このようにして光を一方向にのみ、通すことができます。

 実用的には、シードレーザや、オシレータのすぐ後に設置し、偏光板にはプリズム型偏光子を用いて戻り光は90度跳ねてしまい、その光をシリコンフォトダイオードで測定して、あまり強い戻り光があるときは自動的にレーザをシャットダウンするような安全装置として使われているようです。


公称眼障害区域【NOHA:Nominal Ocular Hazard Area】

「ビーム放射照度又は放射露光が角膜上の最大許容露光量を超えている範囲内の区域」と定められています。
その調整範囲や、広がり角まで考慮した光路上で「レーザ射出口から公称眼障害距離(NOHD)の範囲内」はMPEを超える訳ですが、窓の無い室内ならいざ知らず、屋外でレーザを使用した場合には、適切な光線終端処理(ダンパ)を行わないと、広い領域がMPEを超える危険な領域になってしまいます。
この危険な領域を「公称眼障害区域(NOHA)」と呼んでいます。
双眼鏡などで除いた場合の危険性も考慮したNOHAは拡張NOHAと呼んだりします。


公称眼障害距離【NOHD:Nominal Ocular Hazard Distance】

「ビーム放射照度又は放射露光が角膜上の最大許容露光量に等しいところまでの距離」と定められています。
レーザ光は直進性が良くビーム径はどこまで行っても同じ・・・、なら良いんですが、実際には広がり(divergence)が有るため、ビーム径は離れれば離れる程大きくなります。
広がり角θは、光路上の二点で測定したビーム直径D1、D2(D2>D1)とその距離rを用いて、
θ = 2 arctan{ (D2 - D1) / 2r }
と表されます。
ビームが広がれば広がるほど、パワー密度が低下していきます。そして、そのパワー密度がMPEを下回った時、射出口からその位置までの距離を、公称眼障害距離(NOHD)と呼びます。
ただ、通常この広がり角は数mrad(mrad=°)と非常に小さいので、NOHDは数100mとか数km等の単位になります。
計算例:射出口での出力が、W、ビーム広がりmrad、出力ビーム直径mm であるガウシャン強度分布を持っている可視ガスレーザを想定する。
もし、MPE が W/m2 であるとき、大気の減衰は無視するとして、このレーザのNOHDは、mである。

誘導放出/誘導放射(Stimulated emission/Induced emission)

 (誘導)吸収があるなら、誘導放出があっても良いじゃないか、と言う考えを思いついたアインシュタインが、1916年に発表した有名なアインシュタインの輻射理論の中に初めて現れた概念で(この概念を誘導放出と名付けたのはvan Vleckという人)、非常に簡単に説明すると、分子(原子)が励起状態から基底状態に遷移して光を放出する過程には二つあり一つは、励起状態の寿命で基底状態に遷移する際に一個の光子を放出する自然放出と、遷移エネルギーに等しいエネルギーを持つ光子の刺激(共鳴周波数を持つ強電場)により基底状態に遷移して一個の光子を放出する誘導放出があります。誘導放出の反対の過程が、吸収(誘導吸収)です。誘導放出では、放出される光子は刺激を与えた光子と全く同じ位相と、波長で放出されるので、刺激を与えた光子の波と干渉せずに重なり合って二倍の強度の光になって出てきます。レーザ光の発生には、誘導放出、反転分布、共振器の三つの条件が重要とされますが、アインシュタインはレーザの分野でも重要な貢献をしていることは驚きです。
 実験的に実証したのは、Liの核磁気共鳴実験で共鳴ラジオ波の誘導放出(1951年 Purcell)が確認されたのが最初です。


UV/O3洗浄(UV/O3 cleaning)

 埃の成分は主にハイドロカーボンですが、たとえば紫外域の光源照射と空気中の条件であれば、紫外光によるハイドロカーボンの分解と空気中でオゾンが発生します。
 分解されたハイドロカーボンはオゾンのアタックを受けて、揮発性成分に更に分解し気相中に拡散していきますので、付着した有機性不純物は取り除かれます。
 これはごく一般的な洗浄工程として広く利用されています。普通、低圧水銀ランプやエキシマランプを用います。(後者は圧倒的高効率です)
 レーザで行うとすれば、紫外域から真空紫外域のレーザ、ArFかKrFエキシマレーザが適当かと思います。


レーザ・アニール(Laser annealing)

 レーザによる焼きなましのことです。
YAG、CO2、Ar+レーザを用いて照射部を熱的に励起し、たとえば結晶に含まれる欠陥を再結晶化により取り除いたり、局所的に埋め込まれた不純物を拡散したりする事を言います。
レーザアニールでは空間選択的にアニール(焼きなまし)が可能なため微細加工等にも有利です。
しかし、熱的なエネルギーへの変換が多い長波長レーザではエネルギー拡散が大きく、余計な部分まで加熱されてしまいます。
最近では空間選択的な効果を重視して、エキシマレーザ・アニーリングを用いたアモルファスSi薄膜の結晶化等が開発されています。
エキシマレーザでは照射された部分の表面のみが加熱されるので、基板やその他の部分を加熱することが無く、ダメージが少なくてすみます。


レーザ兵器(Laser weapons)

 レーザの兵器利用は計測の分野が主でしたが、高出力化と小型化は時代を変えました。「およそ人間が想像できる物は実現可能である」等と言われますが、時は流れ、現実がSFに追いついて来たのを感じる事が有ります。
 かつて、SDI計画(Strategic Defense Initiative)で、大気圏再突入前にABMを破壊する目的で1985年に研究が開始された化学レーザ兵器(DF化学レーザ=HF化学レーザより出力が高い)は、反射衛星による実験には成功していた物の、軍縮と実用性の問題から長い間表舞台から姿を消していました。
 ところがこの数年のミサイル防衛(MD)計画で再び息を吹き返しつつあります。最近では、米国とイスラエルが共同開発中である戦術高エネルギー・レーザー(THEL:Tactical High Energy Laser)は、以前とは異なり、短距離ミサイル、巡航ミサイル、地上/空中発射ロケット、無人機、野戦砲弾等を撃破する事ができる、地上配備型の短距離迎撃設備として実験の成功が大々的にニュースとしてリリースされています。
 このレーザは、やはりDF化学レーザを使用しています。このDF化学レーザの原理は、電子ビーム励起、放電、光分解又は純粋な熱化学反応でラジカル化したF原子をD2分子に反応させ、振動励起状態のDFを生じ、この時生じたラジカル化したD原子を更にF2に反応させて振動励起状態のDFを生じる、という連鎖反応を繰り返して振動励起状態のDFを大量に生じ、その振動準位間のエネルギー交換を用いて更に高振動励起状態のDFが生じ、複数波長の誘導放出を得ています。此処にミラーを配置して共振器を形成し、3.8μmの赤外レーザ発振が得られるわけです。この兵器用CWレーザではF2の代わりにF化合物(電気絶縁ガスSF6など)ガスを放電分解してF原子を得ているかもしれません。
 化学反応を用いたレーザ発振では、生じた生成物はエキシマレーザの様に元のガスに戻る事は無いので、発振後の脱励起した生成物はレーザ発振を維持する為に、高速で排気されなくてはなりません。このため、大量のガス導入と同時に、大排気量のポンプで高速排気が必須となります。DF化学レーザでは排気されるDFは当然腐食性・毒性の高いガスとなりますので、このような腐食に耐えるポンプが必要となりますが、宇宙空間ではこのポンプは天然の真空が代替してくれますので、殆ど電力も必要なく、反応ガスのボンベだけで済む非常にメリットの高いレーザ装置と言えます。地上での運用では、高速のタービンの様なもので排気しているのでしょうが、赤外線カメラには建物から排出される激しい廃熱を映し出されており、これが全て有毒ガスだとするとぞっとしますが、触媒やフィルター等を通してある程度は無害化されているのだと思います。
 出力は2MW程度、最大70秒間照射出来、1カートリッジで60回発射可能。一発のコストは$3,000と非常に安価。しかしながら、射程は数km程度でスポット径は数センチと、あくまで近距離用という事らしいです。加工機の様に至近距離での照射と異なり、ミサイルの破壊は弾体の連続的照射による熱的破損から、空圧に耐えられなくなって自爆を誘引するもののようです。確かに、大気による光吸収の少ない波長では有りますが、天候の影響なども少なく無いでしょう。
 こんな物を定点で置いていてもあまりメリットは無いので、現在は自走式のMTHELという、トレーラ三台(照準、発射、燃料)にこの装置を分載したものを実践配備する計画ですが、未だ実用レベルには達していない様子。
 
動画:実際の装置


 この兵器は、短距離ロケット砲や低空飛行している巡航ミサイルを迎撃するシステムですが、同じ化学レーザでもヨウ素と酸素の反応を利用した酸素ヨウ素化学レーザ(COIL)は、航空機に搭載する計画の物で、弾道ミサイルを加速段階で撃墜できる兵器です。地上試験は終わり、航空機搭載の準備中だそうです。カモノハシみたいでかわいい機体なんですけどね。


レーザ・レーダ(Laser rader)/ ライダー(Lidar)

 YAGなどの高出力パルスレーザを用いた、地球環境の計測に用いられているレーダです。地上や、宇宙から大気に向けてレーザを照射し、その散乱光を調べることで、粒子や分子の空間分布や濃度、風速、風向等が観測できます。


回折(diffraction)

 光などの波の性質を持つ物が障害物の背後にまわり込み、本来光の届かない影の場所にまで伝わる現象。


干渉(interference)

 二つ以上の波が、同一地点で合ったとき、両者が重なって互いに強め合ったり弱め合ったりする現象。


偏光(Polarized light, Polarization)

 光は振動しながら進行しています(光は互いに垂直な振動する電場と磁場からなる)。非常に簡単に言うと、この振動方向が揃っている光を偏光と言います。
 偏光板は、特定の振動方向しか持たない光のみ透過し、それ以外を反射したり、吸収したりするもので、散乱光の侵入を防ぐ目的でカメラの偏光フィルターに利用されたり、偏光方向を回転させる特徴を持つ液晶分子を利用した光のON、OFFを実現する為に、液晶ディスプレイ等によく利用されます。
 レーザでは、共振器内にブリュースターアングルを利用した反射板を置く事によって、非常に鋭い偏光性を得る事が出来ます。


光弾性効果(Photoelastic)

 透明な媒質、例えばガラスやプラスチックを二つの偏光板で普通に挟んで目視で観察すると、特に面白い事は有りませんが、その媒質に、力を加えながら観察するとどうでしょうか?CDの表面に現れるような光の縞模様が見える様になります。(偏光版をぐりぐり回して調整すると、もっとはっきり見える様になります)力を加えるのを止めると元に戻ります。
 これは、光弾性効果と言って、力を加える事によって、それまでどの方向に対してもほぼ均質な構造を持っていた透明な媒質が、外力によって一定方向に歪んでしまい、均質で無くなってしまった為に、その中を通過する光の内、歪んでしまった方向に反応する偏光方向を持った光の屈折率が変わってしまったのが原因です(複屈折)。その屈折率の変化は、掛けられている力の強さに比例するので、結果的に強い力が掛かっている部分の色の変化が大きくなり、その周辺に急激に屈折率が変化する縞模様が見られます。
 これを上手く利用すれば、物体のどこにどんな力が掛かっているのか観察する事が出来る訳です。これは便利。
 例えば、ガラスはバーナーで炙ると、軟化して加工しやすくなります。加工した後に急激に冷やすと、まー急激に冷やさなくても、普通にほっとけば、加工した時の力に対応して元に戻ろうとする力、つまり応力が掛かった状態で冷えて硬くなるので、その応力が残ってしまいます。これを一般に歪みと読んでいる訳ですが、この歪みは光弾性効果を示します。ですから、ガラス屋さんは、加工した後その歪みを取る為にアニールを行って歪みを取ります。この時、ちゃんと歪が取れたか確認する為に、二つの偏光板の間にガラスを挟んで確認する訳です。取れてないと、色むらや縞模様となって歪が見えます。
 偏光したレーザ光と光弾性変調器を使うと、レーザ光をscanしながら、高速・高空間分解能で、応力の測定を行う事が出来ます。


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