レーザーの原理・歴史について〜其の二〜




かくしてレーザー光は発生しますが、これだけではまだダメです。

確かに、反転分布と誘導放出により位相のそろった光(これをコヒーレント光と言う)は発生しましたが、我々がそれを、レーザー光として使うには問題が残されています。
その一つには、このように、発生した誘導放出による光はあらゆるところで発生し、様々な方向に、しかもいくつかの位相の違う光の束が存在しているだけに過ぎないのです。
そこで、ある一定方向の光だけが出てくるガラスの筒を作ります。この筒の両側に反射鏡を取り付けます。ただし、片方の反射鏡はいくらか光が漏れる様に反射面を薄くしておきます。
すると・・・


青色のガラス筒の中で動き回っているのは、励起分子です。
励起分子の中を飛び回って、二つの反射鏡の中を行ったり来たりする間に光は増幅し、右の反射鏡で反射する度に、レーザー光を右に放出しています。
従って、この二つの反射鏡を行き来できない方向に進む誘導放出光や自然発光はガラス管の外に飛び出していってしまいます。
このように、ガラス管が長ければ長いほど、方向のそろった光の束がレーザー光となって飛び出してきます。

また、このガラス筒は、両端をつながれた弦のように、一定の波(光)を定常的に発生させます。
縄跳びの縄の片方をつないで、縦に振ると、ひもの波が発生します。
これは、縄の上をまるで走るように、つながれた片方の端へ進み、跳ね返ってきます。
これは、このガラス筒の中を走る光と同じです。
縄の振りを早くすると、たくさんの波が発生して、跳ね返って来ます。
どんどん速くして行くと、そのうち波が止まり、同じ位置で波が上下を繰り返す様になります。
これが定常波です。更に振りを速くすると、今度は二つの波が縄を丁度半分個して上下します。
これを繰り返すと、いくつもの波が縄の上で定常的に発生することができます。
またこのとき、振りの早さを一定にしておけば、それほど大きく縄を振らなくても、縄の振幅を大きくできます。
これを共振と言います。ガラス筒は、これと同じ事を光で行います。
ガラスの中で発生した光の波長の整数倍が、ガラス筒の長さに等しいとき、光を定常的に閉じこめるため、同じ位相のそろった光だけが、ガラス筒の中で増幅を繰り返します。

このような構造を共振器と言います。
では、このようにして得たレーザー光は、電球などの光に比べてどう違うのでしょう。

上のように、電球のような光は光源であるタングステン線からあらゆる方向に、光が放出されるため光源から離れれば離れるほど光は弱くなっていきます。
一方、レーザーでは、共振器のなかで一定の方向の光以外取り除いてあるので、その方向に進む光は何かに遮られない限り、弱まらずに進んで行きます。

また、レーザー以外の光は、光の波長が一つだけ(これを単色光と言う)ではないので、プリズムの中を通ると様々な色の光に分かれてしまいますが、レーザー光は非常に波長の良くそろった単色光なので、プリズムを通っても光が様々な色に分けられることはありません。

更に、レーザーは光の位相がそろっています。
その他の光源では位相がそろっていないため、光の干渉によっていくらランプのパワーを強くしても光子の数に比例した分だけの光強度を得ることができません。これは、波の重ね合わせで考えると解り易いです。
全く同じ波同士を重ね合わせると、二倍大きな波が起こります。
しかし、波の位置をずらして重ね合わせると波は、二倍にはなりません。これが干渉です。
前者が、位相がそろっている光つまりレーザー光で、後者がそれ以外の光源の光です。

これらの特徴はレーザーとしては非常に重要な事柄ですが、実はすべてのレーザーがこの特徴を有しているわけではありません。
レーザーにはその利用法によって一部の特徴を生かすためにそれ以外の特徴を殺してしまっている物もたくさんあります。

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