博士論文要旨



博士論文要旨

       ONE-LOOP QUANTUM EFFECTS IN KALUZA-KLEIN THEORIES

         (カルツァ-クライン理論における量子効果)

                         東京都立大学大学院理学研究科
                                  白石 清

 拡張されたカルツァ-クライン理論では,まず高次元空間を考え,われわれの四次元
以外の空間は大きさがプランク長さ程度のコンパクトな空間になっていて,その空間の
持つ対称性が四次元のゲージ対称性をもたらしていると考える。
 本論文では,まず物質場の量子効果が特にコンパクトな内部空間の大きさを決定する
のに重要な役割をすることを紹介する。そのうえで,さらに量子効果のもたらすさまざ
まな不安定性について考察を与える。
 まず私は一様なゆがみを取り扱える空間を考え,量子効果が内部空間のゆがみに対す
る不安定性をもたらすことを示す。次に,私は重力と物質場が自明でない結合を持った
モデルを考え,量子効果によって安定な内部空間を持った解が存在するかを考察する。
このモデルでも不安定性の存在が簡単な議論で示すことができる。
 本論文の後半では,有限温度の効果を概説する。場の理論で温度を導入するには上に
述べた量子効果を得るのとほぼ同様の計算過程を必要とする。また熱的な不安定性もカ
ルツァ-クライン理論では重要であることが知られている。これらを概観したのち,私
はさらに高次元空間における有限密度をもった物質の系を考える。そのとき,物質場の
振る舞い(例えば縮退や凝縮)が高次元の時空の構造とどうかかわっているかを考察す
る。最後に,余分な次元の上のゲージ場によって対称性が破れるモデルを考える。有限
温度や密度で安定な真空が変化するかを調べる。このモデルは,通常のヒッグス機構と
は全く異なった温度密度依存性を持つことを示す。


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